その日、家へ帰ってからも裕太の言葉が頭から離れませんでした。

『俺はななが好きなんだよ』

何度も何度も思い出してしまいます。


最低です。

本当に最低。

香織さんには言えない。

子どもも産まれる。

何も解決していない。

それなのに、どうしてそんな言葉を言うんだろう。


わたしはベッドへ倒れ込みました。

スマホを見ます。

裕太とのLINE。

最後のやり取り。

今日の会話。

全部が頭の中をぐるぐる回っていました。

そして気付いてしまったんです。


会わなきゃ良かった。

そう思う自分と、

会えて良かった。

そう思う自分が居ることに。

どっちも本音でした。


もし今日会わなければ。

少しずつ忘れていけたのかもしれない。

佐藤さんとも前向きに向き合えたのかもしれない。


でも、今はもう無理でした。

会ってしまったから。

声を聞いてしまったから。

目を見てしまったから。

また裕太が近くなってしまったんです。


スマホを握りしめます。

苦しい。

本当に苦しい。


でも、それ以上に会いたいと思ってしまう自分が居ました。

そして、その事実が何より苦しかったんです。


わたしはスマホを置いて目を閉じました。

寝よう。

考えるのはやめよう。

そう思うのに無理でした。


次回へ続きます。