裕太は続けます。
「あと」
また言葉を切ります。
わたしの心臓が嫌な音を立てました。
「香織、産むって」
わたしは思わず息を止めました。
「絶対産むって言った」
裕太は苦笑いします。
「下ろす気なんて最初からなかった」
わたしは何も言えませんでした。
少しだけ安心したんです。
正直に言うと。
だって前回聞いた話があまりにも酷かったから。
裕太は続けます。
「だから俺も父親になるんだと思う」
でも、その言い方が妙でした。
どこか他人事みたいだったんです。
わたしは違和感を覚えました。
そして、その違和感は次の言葉で確信に変わります。
「でもさ」
裕太がわたしを見ました。
「俺、本当はななと一緒に居たいんだよ」
わたしは思わず頭を抱えたくなりました。
この人、本当に分かってない。
次回へ続きます。