「香織、めちゃくちゃ怒った」

裕太はそう言って苦笑いしました。

でも、その顔に笑う余裕なんてありません。

わたしは黙って続きを待ちました。


裕太はコーヒーカップを触りながら言います。

「そりゃそうだよな」

その言葉だけは正しいと思いました。

本当にその通りです。

怒らない方がおかしい。

裕太は少し俯きます。


「俺、香織に正直に言ったんだ」

嫌な予感しかしません。

「ななのことが忘れられないって」

わたしは思わず目を閉じました。

聞いているだけで胃が痛くなります。

裕太は続けました。


「そしたら香織、泣きながら怒って」

「当たり前じゃん」

思わず口から出ました。

裕太は何も言い返しません。


そして小さく頷きます。

「うん」

しばらく沈黙が流れました。


「それで?」

わたしが聞くと、裕太は視線を落としたまま答えます。

「出て行けって言われた」

胸がざわつきました。

「今は実家にいる」

わたしは何とも言えませんでした。

正直、そうなるだろうなと思ったからです。

でも話はそこで終わりませんでした。


次回へ続きます。