早い。

本当に早い。

まるで待っていたみたいでした。

わたしはしばらく画面を見つめます。


出る?

やめる?

心臓がうるさいくらい鳴っていました。

そして、わたしは通話ボタンを押したんです。


「もしもし」

聞こえてきた声に、胸が締め付けられました。

裕太でした。

当たり前なのに。

その声を聞いた瞬間、涙が出そうになったんです。


「……もしもし」

わたしも返します。

少し沈黙。

そして裕太が笑いました。

「久しぶりに声聞いた」

その一言だけで、また心が揺れてしまいました。


本当に嫌になります。

こんな男。

忘れなきゃいけないのに。

嫌いにならなきゃいけないのに。

それでも、わたしは電話を切れませんでした。


次回へ続きます。