わたしは続けました。

「ねぇ裕太」

「もし香織さんのお腹の子が、わたしとの子だったら?」

裕太が顔を上げました。

「それでも同じこと言う?」

その瞬間でした。

裕太の表情が固まったんです。

答えられなかった。


つまりそういうことでした。

わたしはゆっくり息を吐きます。

そして初めて気付いたんです。

裕太は誰かを選んでいるんじゃない。

その場その場で、自分が一番楽な道を選んでいるだけなんだって。


香織さんと居る時は香織さん。

わたしと居る時はわたし。

きっと今までもずっとそうだった。


胸が痛くなりました。

でも同時に、少しだけ冷静になれた気もしたんです。

すると裕太が小さく言いました。

「俺、やり直したいんだ」


わたしは笑いました。

今度は呆れた笑いじゃありません。

少し悲しい笑いでした。

「まず先にやることあるでしょ」

そう言うと、裕太は何も言えなくなったんです。


次回へ続きます。




 

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