「俺のことどう思ってる?」
その言葉に、わたしはすぐには答えられませんでした。
好き。
嫌い。
どっちも本当だったからです。
裕太は黙ってわたしを見ています。
昔なら、その目を見ただけで安心できました。
でも今は違います。
その目で何人の女性に同じことを言ったんだろう。そんな考えが頭をよぎるんです。
「分からない」ようやく出た言葉は、それでした。裕太が少しだけ眉を下げます。
「好きか嫌いかも分からない」
わたしは続けました。
「でも一つだけ分かる」
裕太は黙って聞いています。
「今の裕太は信用できない」
沈黙。
駅前の雑音だけが聞こえます。
「好きだからって」
「好きな人と一緒になりたいからって」
「子どもがいる人に別れろとか、下ろしてもらうとか」
わたしは首を振りました。
「そんなこと平気で言える人を信用できるわけない」
裕太は俯きます。
何も言い返しません。
次回へ続きます。