わたしは思わず笑いそうになりました。
もちろん良い意味じゃありません。
呆れたんです。
本当に。
心の底から。
目の前の男は何を言っているんだろう。
香織さんのお腹には自分の子どもが居るんです。
家族になる相手も何もないじゃないですか。
でも裕太は真剣でした。
「俺さ」
そう言ってわたしを見ます。
「まだ、ななのことが好きなんだ」
胸がドクンと鳴りました。
最悪です。
本当に最悪でした。
怒るべきなのに。
呆れるべきなのに。
こんな男どうでもいいと思うべきなのに。
心が反応してしまったんです。
裕太は続けます。
「だから香織とは別れようと思ってる」
わたしは顔を上げました。
嫌な予感しかしません。
そして、予想通りでした。
「子どもも⋯」
裕太は視線を逸らします。
「下ろしてもらおうと思ってる」
次回へ続きます。
