約束の日。

わたしは待ち合わせ場所へ向かっていました。


少し早めに着いてしまって、駅前のベンチに座ります。

落ち着きません。

何度も時間を確認してしまいます。


帰ろうかな。

そんなことまで考えました。

でも、ここまで来て帰ることもできません。


しばらくすると遠くから歩いてくる人影が見えました。

裕太でした。

胸がドクンと鳴ります。

最後に会ったのは、あの日。


真由さん。

美咲さん。

香織さん。

そして裕太のお母さん。


全員が集まったあの日以来です。

裕太はわたしに気付くと、一瞬立ち止まりました。そして小さく頭を下げたんです。

「久しぶり」

その声を聞いた瞬間、なんとも言えない気持ちになりました。


懐かしい。

腹が立つ。

悲しい。

色んな感情が一気に押し寄せます。

「久しぶり」

わたしもそう返しました。


裕太は少し痩せていました。

髪も伸びています。

正直、前より疲れて見えました。

でも、そんなことを心配する立場じゃない。

自分に言い聞かせます。


しばらく気まずい沈黙が続きました。

先に口を開いたのは裕太です。

「来てくれてありがとう」

わたしは何も答えませんでした。

ありがとうと言われる筋合いもない気がしたからです。

裕太は苦笑いします。


そして、少しだけ視線を落として言ったんです。「まず最初に謝りたかった」

その言葉に、わたしの心がざわつきました。


次回へ続きます。