裕太が泣き始めました。
肩を震わせながら顔を覆います。
誰も声を掛けません。
しばらくして、裕太がようやく口を開きました。
「俺だって苦しかったんだよ……」
その瞬間、真由さんが呆れたように笑いました。
「は?」
今までで一番冷たい声でした。
でも裕太は止まりません。
「本当にみんな大事だったんだ」
誰も何も言いません。
裕太は涙を拭きながら続けます。
「誰かを騙そうと思ったわけじゃない」
「最初から遊びだったわけじゃない」
「本気だったんだよ」
その言葉に、今度は美咲さんが口を開きました。
「だから何ですか?」
裕太が固まります。
美咲さんは続けました。
「本気なら何してもいいんですか?」
沈黙。
「本気なら同時に何人も付き合っていいんですか?」
沈黙。
「本気なら結婚の約束も妊活の話もしていいんですか?」
裕太は何も言えません。
次回へ続きます。