その言葉に、今度は裕太の母親がゆっくり椅子から立ち上がりました。

誰も声を出しません。

母親は香織さんを見ています。


そして静かに聞きました。

「今、何ヶ月なの?」

香織さんは少し驚いたような顔をしました。

「まだ分かったばかりなので⋯たぶん二ヶ月くらいです」

また沈黙が流れます。

聞くところによるとまだ病院には行っていなく、妊娠検査薬で陽性が出たそうです。


二ヶ月。

その数字が頭の中で何度も繰り返されました。


わたしは妊活をしていました。

年齢のこともあって焦りもありました。


病院にはまだ行っていなかったけれど、ゆくゆくは行ってみようという話が裕太との間で出ていました。

体温計や排卵検査薬で排卵日を予測をしたり、サプリを飲んだり工夫してきました。

泣いたことだってあります。


それなのに。

裕太との子どもを授かったのは、わたしじゃなかった。

香織さんだったんです。


胸の奥がぐちゃぐちゃになりました。

悲しいのか。

悔しいのか。

怒っているのか。

自分でも分かりません。


ただ、羨ましいと思ってしまったんです。

こんな状況なのに。

香織さんも被害者なのに。

それでも、妊娠したという事実だけは羨ましかった。

そんな自分が嫌でした。


次回へ続きます。



わたしも妊娠中だったので飲んでいた葉酸サプリです。