その瞬間、 母親が立ち上がりました。
誰も動けません。
母親は裕太を見ています。
今まで見たことのない顔でした。
「どういうこと?」
静かな声でした。
でも
その場にいた誰よりも怒っているのが分かりました。
裕太は何も答えません。
香織さんが不安そうに周りを見ています。
「え⋯?」
まだ状況を理解できていないみたいでした。
母親はもう一度聞きます。
「結婚の話って何?」
裕太が小さく息を吐きました。
そして
「母さん、今は関係ないから」
そう言ったんです。
その瞬間、母親の表情が変わりました。
「関係ない?」
低い声でした。
わたし達全員が固まります。
「あなたが何人の女性を巻き込んでいると思ってるの?」
裕太は黙ったままです。
母親は香織さんを見ました。
「あなたは結婚の話をされていたの?」
次回へ続きます。


