「俺の中では、その時その時で本気だった」
誰も何も言いません。
言葉が出なかったんです。
裕太は続けました。
「ななとも本気だった」
わたしの心臓が嫌な音を立てます。
「美咲さんとも本気だった」
美咲さんが目を閉じました。
「真由さんとも本気だった」
真由さんは無表情のままです。
裕太は俯きました。
「だから、自分でも途中から分からなくなった」
その瞬間。
真由さんが静かに言いました。
「それ、本気って言うんですか?」
部屋の空気が変わりました。
今までで一番鋭い声でした。
裕太は言葉を失います。
そして
今まで黙っていた裕太の母親が、ぽつりと言いました。
「私もそれが聞きたい」
裕太がハッと顔を上げました。
母親は息子を真っ直ぐ見ています。
そして静かに続けました。
「裕太、あなた自分で何をしたか分かってるの?」
次回へ続きます。