「裕太くんは誰と付き合っていたんですか?」
部屋が静まり返りました。
時計の音だけがやけに大きく聞こえます。
裕太は何も言いません。
真由さんは視線を逸らしませんでした。
美咲さんも腕を組んだまま裕太を見ています。
わたしも黙っていました。
答えを聞きたかったはずなのに。
いざその瞬間になると怖くなっていました。
数秒。
いや、もっと長かったかもしれません。
やがて裕太が小さく息を吐きました。
そして言ったんです。
「その質問には答えられない」
わたし達は固まりました。
真由さんがすぐに聞き返します。
「答えられない?」
裕太は頷きました。
「誰か一人を選ぶような話じゃないから」
意味が分かりませんでした。
美咲さんが眉をひそめます。
「それどういう意味ですか?」
裕太は苦しそうな顔をしました。
今まで見たことのない顔でした。
しばらく黙ったあと、ようやく口を開きます。
次回へ続きます。
