「あなた達は、裕太から同じ話を聞かされていたんじゃない?」 

部屋の空気が止まりました。 

誰も返事をしません。 

わたしも出来ませんでした。


だって、 あまりにも図星だったからです。

裕太は俯いたままです。

真由さんも美咲さんも黙っています。

すると母親が続けました。


「今日、この子から初めて聞いたの」 

わたしは顔を上げました。
初めて?

母親は苦笑いを浮かべます。
「あなた達が会っていることも」
「連絡を取っていたことも」
「三人いることも」
その言葉に全員が固まりました。

え?
わたしは思わず裕太を見ます。
裕太は目を合わせません。
母親は続けました。
「私はずっと、ななさんのことしか知らなかった」
今度は真由さんと美咲さんが驚いた顔をしました。

「え?」
美咲さんが思わず声を出します。
母親は頷きました。
「だから今日聞かされて、私も混乱してるの」
その言葉は意外でした。
わたしはてっきり全部知っていると思っていたからです。

母親はわたしを見ました。
「ななさん」
名前を呼ばれて少し身構えます。
でも母親は静かでした。
「私はずっと、あなたと裕太のことで揉めているんだと思っていたの」
わたしは何も言えません。

「だから正直に言うと」
母親は真由さんと美咲さんへ視線を向けました。
「お二人の存在は今日初めて知りました」
部屋が静まり返ります。

その時でした。
真由さんが裕太を見て言ったんです。
「じゃあ聞いてもいいですか?」
裕太はゆっくり顔を上げました。
真由さんの表情は今までで一番真剣でした。
「私達の中で」
そこで一度言葉を切ります。
そして、

「裕太くんは誰と付き合っていたんですか?」


次へ続きます。



諦めたくはない!!

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