その日は――わたしが絶対に忘れられない日でした。
わたしは一覧表を見つめたまま固まっていました。
「これ…」
思わず声が漏れます。
真由さんは静かに頷きました。
「気付きました?」
気付かないはずがありませんでした。
その日は裕太がわたしに手紙を渡してくれた日だったからです。
嬉しかった日。
大切にされていると思った日。
何度も読み返した日。
だから忘れるはずがありませんでした。
でも
真由さんが作った一覧表には、その日付の横に別のメモが書かれていました。
わたしは何度も見返しました。
見間違いだと思いたかったからです。
「その日…」
わたしは言葉を探しました。
「真由さんも会ってたんですか?」
真由さんは少しだけ俯きました。
そして小さく頷きました。
「はい」
店内の音が遠くなった気がしました。
美咲さんも黙っています。
わたしは手紙を渡された日のことを思い出していました。
あの日の裕太。
優しかった。
真剣だった。
少なくとも、わたしにはそう見えていました。
だから信じていました。
なのに。
同じ日に別の女性とも会っていた。
その事実だけで十分でした。
「時間までは分からないんですけど」
真由さんが言いました。
「少なくとも、その日の夜は一緒に居ました」
胸の奥が重くなります。
わたしは何も言えませんでした。
美咲さんも静かでした。
そして不思議なことに。
怒りより先に、力が抜けていく感覚がありました。
もう何を信じたらいいのか分からなくなっていたんです。
その時でした。
美咲さんが一覧表を見ながら小さく呟きました。
「待って」
わたしと真由さんが顔を上げます。
美咲さんの表情が変わっていました。
「これ…」
指差したのは別の日付でした。
わたしも覗き込みます。
そして、次の瞬間。
今度はわたしと真由さんが固まりました。
その日付には、わたしも真由さんも見覚えがあったからです。
次回へ続きます。
恋愛って本当に相手を見極めるのが難しいですね

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