わたしは言葉を失いました。
スマホの画面にはメッセージのやり取りが表示されていました。
送り主は裕太。
それだけなら驚きません。
でも問題は内容でした。
そこに書かれていたのは、わたしが見たことのある言葉ばかりだったんです。
「大丈夫だよ」
「ちゃんと考えてるから」
「今は色々あって余裕がないだけ」
「信じて待ってて」
胸がざわつきました。
どこかで聞いたことがある。
いや、聞いたことがあるどころじゃありません。
実際に言われたことがありました。
わたしは無意識にスマホへ顔を近付けました。
真由さんが静かに言います。
「これだけじゃないんです」
そして画面をスクロールしました。
次に表示されたメッセージを見て、わたしはさらに固まりました。
そこには、将来のこともちゃんと考えてると書かれていました。
その言葉も知っています。
わたしも似たようなことを言われたことがありました。
美咲さんも画面を見ながら苦笑いしています。
「わたしもです」
そう言いました。
「ほとんど同じこと言われてました」
誰も笑っていません。
でも、あまりにも似すぎていて、逆に笑うしかないような気分でした。
不思議な空気でした。
わたしも。
美咲さんも。
真由さんも。
たぶん同じことを考えていたと思います。
付き合っていた期間を言い合えば、色々なことが分かるはずです。
誰が一番最初だったのか。
どこから期間が重なっていたのか。
本当は確認した方がいいのかもしれません。
でも。
誰もその話を切り出しませんでした。
聞くのが怖かったからです。
もし想像以上の事実が出てきたら。
もし全部の期間が重なっていたら。
そう思うと、誰も踏み込めませんでした。
まるで見てはいけないものを前にしているみたいでした。
次回に続きます。