「でも」

美咲さんは続けます。

「ここまで来たら知りたいんです」

知りたい。

その言葉にわたしは黙りました。

分かるからです。


知りたい。

でも知るのが怖い。

ずっとその繰り返しでした。

裕太のことも。

手紙のことも。

突然連絡が取れなくなったことも。

知らない方が幸せだったことなんて、きっとたくさんあります。

それでも知りたくなる。

人ってそういうものなのかもしれません。


その時でした。

カラン。

店のドアが開く音がしました。

わたしも美咲さんも同時に振り返ります。

女性が一人立っていました。

年齢はわたしと美咲さんの間くらいでしょうか。

(美咲さんに直接年齢は聞いていませんが、わたしの9歳下の裕太ときっと同い年くらいです)


店内を見回しています。

そして、わたしたちと目が合いました。

女性の表情が一瞬固まります。

向こうも分かったみたいでした。

わたしも、美咲さんも、そしてあの女性も。

きっと同じことを考えていました。

「この人なんだ」と。


次回へ続きます。