スマホが震えました。


わたしはしばらく画面を見ることが出来ませんでした。

どうせ裕太じゃない。

そう思いました。


だってLINEはブロックして削除しているし、電話だって掛かってくるはずがありません。

それでも心臓がうるさいくらい鳴っています。


恐る恐るスマホを手に取りました。

知らない番号からのSMSでした。

一瞬、営業かなと思いました。

でも違いました。

メッセージを開いた瞬間、息が止まりそうになりました。


「突然ご連絡してごめんなさい

今日お会いした者です」


今日お会いした者。

その一文だけで誰なのか分かりました。

裕太の部屋に居た女性でした。


どうして。

なんでこの人がわたしの電話番号を知っているの?気持ち悪い。

怖い。

色んな感情が一気に押し寄せました。

続きを読むか迷いました。

でも指が勝手に画面をスクロールしていました。


「本当はこんな連絡しない方が良いと思ったんですが、どうしても気になってしまって⋯」

その先を読んだ瞬間、わたしは固まりました。


「今日、裕太くんから全部聞きました」

全部?

全部って何?

わたしは無意識にスマホを握り締めていました。

婚約者なんじゃないの?

全部知っていたんじゃないの?

だったら今さら何を言うつもりなんだろう。

メッセージはまだ続いていました。


「私も騙されていたみたいです」

意味が分かりませんでした。

騙されていた?

騙されていたのはわたしの方じゃないの?

頭の中が混乱します。

そして最後の一文を読んだ時、わたしは思わず声を出しました。


「一度だけ、お話できませんか?」

暗い部屋の中でスマホの画面だけが光っています。数時間前まで、わたしの中で裕太との話は終わったはずでした。

それなのに。

終わったはずの話が、また動き始めようとしていました。


次回へ続きます。