わたしが固まっていると、その女性が先に口を開きました。
「あ…初めまして」にこっと笑っています。
わたしは何も言えませんでした。
初めまして?
何が初めましてなの?
頭の中が全然追いつきません。
女性は少し困ったような顔をして裕太を見ました。「お知り合いの方?」
お知り合い。
その言葉に引っ掛かりました。
わたしは裕太の彼女だったはずです。
少なくとも、わたしはそう思っていました。
なのにお知り合い?
裕太は気まずそうな顔をしています。
何か言おうとしているのに言葉が出てきません。
女性はそんな裕太を見て
「あ、ごめんなさい。私、何も知らなくて…」
と言いました。
何も知らなくて?
だったらなんでそんな申し訳なさそうな顔をするんだろう。
「裕太くん、ちゃんと説明してなかったの?」
女性は優しい口調でした。
でも、その言葉を聞いた瞬間、胸がざわつきました。
まるで自分は事情を知っている側で、わたしだけが何も知らないみたいでした。
裕太は相変わらず黙ったままです。
女性はわたしに向かって小さく頭を下げました。「なんか誤解させちゃったらごめんなさい」
誤解。
その言葉が妙に引っ掛かります。
誤解って何?わたしはまだ何も言っていません。
何も聞いてもいません。
なのにどうして誤解なんて言葉が出てくるんだろう。
さっきまで裕太に会えたことが少し嬉しかったはずなのに。
今はもう、そんな気持ちはどこにもありませんでした。
次回へ続きます。