席へ戻ってわたしはFさんの前で涙ぐみはしたが、実際に涙はこぼさなかった。
電話で何かあったんだろうと察したようで、向かいに座るFさんがわたしの頭をぽんぽんとした。
それでも涙はこぼれなかった。
「今日家に泊まりに来なよ、なんか一人にしとくの心配だよ」
「うーん」
お酒のあてに頼んだ冷えたポテトを摘みながらわたしは考えた。
「必要なものあるなら今から家に取りに行こ、メイク落としとか買えるものは買ったらいいし」
「うーん」
メイク落とし買うのはFさんがお金出してくれるんだろうか、自分でお金出すのみじめでいやだなと思った。
色々面倒だから「今日はやめておくよ」と言おうかと思ったけど、今日は特に寝る時一人になりたくないと思った。
他の誰でもないFさんにそばにいて欲しいと思った。
「うん、泊まるから家に荷物一緒に取りに来て?」
「もちろん!」
自分の家に帰るとFさんには外で待っててもらい、わたしは三日分の服と下着、化粧品などをボストンバッグに詰め込んだ。
何日間かFさんの家に居るつもりだ。
メイク落としもしっかり持ったから、メイク落としによってみじめな気持ちになる可能性はゼロになった。
その日もセックスした。
しっかりゴムは付けられた。
Fさんの家にいる間に、わたしのいい所をもっとアピールして時期をみて妊活の話をしてみよう。