イムス東京葛飾総合病院での手術を決めた私は、家族に手術する旨を伝えた。
家族も、私が将来的に心臓手術を要することはなんとなく分かっていたと思うが、
こんなに急に決まるとは思っていなかったはずだ。
きっと動揺するし、心配するだろうから、伝えるタイミングはギリギリにした。
家族は気丈に受け止めてくれて、とても助かった。
自分が悩むのはいいが、家族に掛ける心労は最小限にしたかった。
家族や職場と調整し、手術日を決定し、山岸先生に伝えた。
ここから先は、よく言う「まな板の鯉」である。
先生に、全てを委ねるしかない。
しかし私は、手術までの期間でベストをつくし「最高の鯉」になろうと決めた。
手術が「料理」だとして、シェフやお店が超一流であっても、食材が悪ければ調理は困難になるだろう。
鯉にも、出来る努力はあるはずだ。0.001%でも良い状態で手術を迎えたい。
そんな思いで、私は以下の取り組みを実施した。
※あくまでも「私が実施したこと」です。
それぞれの状態によると思われますので、必ず主治医の先生に相談してください。
・歯科検診
⇒感染性心内膜炎などを防ぐためには、口腔内の状態も大事らしい。術後に出血を伴う歯科治療をする場合は抗生剤を服用する必要があるとのこと。術前に口腔内をキレイにしておくことは絶対であると考えた(多分術後も大事)
・家族との隔離(妻の発案)
⇒我が家には子どもがいるので、学校でよく風邪をもらってくる。その後、私に移るのがお決まりのパターンだ。
万が一、風邪など引いてしまったら手術が延期になるかもしれない。延期するほどの風邪ではなく、若干の体調不良程度だとしてもコンディションが削られるのは間違いない。
術中、術後の生命力を最高の状態にするためにも、風邪は絶対に引けない。
そのため、家族とは完全隔離で別室で過ごした。
外出時のマスク着用も徹底した。
(手術直前に食堂で隣のオジサンが思い切り咳をしてキレそうになったこともあった。)
・肺を鍛える(私の完全な思い付き)
⇒術後の回復には、肺の状態も重要であるらしい。空気のキレイなところで、数パターンの深呼吸で肺の筋肉?を鍛えることを心掛けた
・適度な運動(私の思いつき)
⇒「体力」という意味でいえば、運動も重要であろうと考えた。もちろん大動脈瘤を抱えていることは大前提である。血管に負担を掛けるであろう強度の運動や、重い物を持ったりは避けて、ウォーキングや自転車程度にとどめた
・血管に良さそうなものを摂取(私の思い付き)
⇒ネットで検索し「血管に良い」とされる食品を積極的に摂取した。
血管を縫うのだから、血管が丈夫である方が良いであろうと思ったのだ
同様に、血液がサラサラになりそうな食生活も心掛けた。
心臓血管手術の場合は、脳梗塞という合併症リスクが避けられない。
出来るだけ血液はサラサラの方が良いのではと考えた。
繰り返しだが私の思い付き部分の、効果は不明である。
気休め(気晴らし)として精神安定には役に立ったと思う。
ただ、いずれにせよ極端な取り組みは思わぬリスクを生みそうな気もしたので「日常生活の延長」という程度にした。
そんなこんなで、風邪もひかず、ベストコンディションで、私は最高の鯉として手術前の入院の日を迎えることが出来た。
入院の日の朝だけは、一瞬だけ隔離を解除して家族と会った。
不思議なことに「帰ってこれないかも」とかは、全く思わなかった。
先生を信じていたし、絶対に大丈夫である気がした。
ただ、帰ってきた後の私は、今までと変わるかもな。。とは思っていた。
まず胸骨が痛いだろうし、ワーファリンの影響で出血も怖いだろう。
術後の辛さで精神的に不安定になった人もいると聞いた。
何がどう変わるかは、分からない。その点には不安があった。
そういう意味で「今の状態」で家族に会えるのは、今日で最後になる。
だから、家族に最後に会っておきたかった。
今にして思えば、家族と会って、パワーをもらいたかったのかもしれない。
ただでさえ、私の大手術で動揺もある中、ストレスなく隔離生活を送らせてくれた家族には、感謝してもしきれない。
私は、大きなリュックと、ICU用のバッグを持って、イムス葛飾東京病院へ向かった。
- 前ページ
- 次ページ