大劇場お披露目前に公開された現宙組トップスター,トップ娘役のインタビュー記事がまだ残っていたのでリンクを貼る.宙組問題が公になる前の記事であり,全体として好意的に書かれている.



 興味深いのは以下の宙組トップスターのインタビューだ.

Q. トップとしてどんな組にしたいのだろうか


という質問に対する宙組トップスターの回答が,


A. 「はっきり言って、ないです。私1人がどうしたいからと、70人近い人間を動かすのは無理だと思います」。観客の心を動かす舞台に最も必要なのはエネルギーであり、「どのくらいのエネルギーが必要かを私が体現すれば、皆も動いてくれる」(上記記事から引用)


Q. 相手役と描くコンビ像


A. 「ないんですよね。お互いに仕事をやり切れば、いい作品になる」と冷静だ。言葉からにじみ出るのは舞台への情熱。「こう見えて暑苦しい人間なので、下級生には暑苦しく指導するタイプかな」と笑った。(上記記事から引用)


 「ないです.」が日本語の誤用であることはさておき,この記事を最初に読んだときは,この人は2番手時代が長くトップ就任前に十分猶予があったのに「トップ像」など自分の中で温めてこなかったのだろうかと違和感を覚えた.

たいていのトップスターはこの手のインタビューで「トップ像」,「コンビ像」,どのような組にしたいかなど何かしら展望を語っていたと記憶しているからだ.「無い」と言い切ったトップスターは彼女くらいではなかろうか.


 昨年からの宙組問題を思えば,70人近い人間を動かすのは無理」という言葉も気になる.トップスターが組子を統率できない状態だったのだろうか.

また,「下級生への暑苦しい指導」の具体例が知りたいところでもある.それは故人が受けた「指導」と同種のものですか,と.


 宝塚歌劇団に幻滅する前は,このような違和感ある事柄も右から左へ受け流していた.

しかし,今となっては,このインタビューの頃には既に宙組問題に繋がる崩壊への序曲は始まっていたのだろうなと思う.

組の顔ともいえるトップスターの発言からは,残念ながら「この組に問題が起こっても不自然でない」という印象をもってしまう.