「宙組団員自死事件」におけるパワハラ行為者が今からでもできることは退団(除籍)一択という記事を書いた.

 この記事に少々追記したい.


 一般的にパワハラ行為者が受ける処罰には,解雇の他に減給や降格などもあるだろう.


 ただし,本件のパワハラ行為者への減給については,実施可能か分からない.

というのも,既に劇団員の低賃金労働,時間外労働への給料未払いなどが指摘されているため,ただでさえ極端に少ない給料から更に減らされることの是非が問われるだろうから.


 降格については,アルコール依存症疑惑のある演出家の理事退任(退団したとはきかない),角会長の劇団・音楽学校の両理事長の退任(ホールディングスCEOは継続)など,降格に準じた処分が既に実施されており,何らかの上位のポジションに就いている人であれば可能といえる.


 これを本件のパワハラ行為者(のうちタカラジェンヌ)に置き換えると,宙組幹部上級生(おそらくは組長やトップスター等の役職に就いている)はそれらのポジションを降り,一宙組劇団員となることで降格処分を受けることは可能である.


 しかし,宙組幹部以外のパワハラ上級生(以下,平上級生)はこれ以上降りるポジションがないため降格処分の適用が難しい.

 降格に準ずる処分として,平上級生の舞台上でのポジションを下げることも想定されるが,それも現実的には困難かと思われる.

 宝塚歌劇団のスターシステムはトップスター,トップ娘役,男役の2番手位までは地位が揺らぐことはほぼないが,それ以下の番手の路線・別格スターであれば誰が上げられ,下げられるかは作品毎に流動的なものである.

 ベテランのスター(上級生)が勢いのある若手スター(下級生)に舞台上でのポジションを抜かれるケースはこれまでにも普通に見られた.

 そのため,事実上の降格処分として,パワハラ行為者の今後の役付きや舞台上での配置を悪くしたところで,世間はおろか宝塚ファンにも大したインパクトを与えられるとは思えない.

 

 また,退団発表がほぼ全てのタカラジェンヌが遅かれ早かれ経験する事であるのに対し,タカラジェンヌの降格発表は管見の限りでは前例がない.


 パワハラ行為者の退団処分であれば,他の退団者に紛れて,行為者の名前を公にすることなくこっそりと劇団から抜けることができる.

つまり,退団(除籍)を受け入れることはパワハラ行為者にも利点があるのだ.


 一方で,宙組内での役職(組長やトップスター等)が別の人に代わる際,公式から何もアナウンスがないことは有り得ない.

理由は語らずとも,「○月●日付で,宙組(役職名)を〇〇から××に交代いたします.」程度の情報は最低限必要である.


 こうなると,週刊誌を読まない層にも具体的にパワハラ行為者の名を知らしめることになり,遺族側・劇団側ともにパワハラ行為者の名前を伏せていた意味がなくなる.


 以上を踏まえて,パワハラ行為者のタカラジェンヌの降格処分は平上級生には適用できず,幹部上級生にとっては即日退団よりも社会的に痛手を負うことになり,退団処分よりも現実的でないと思われる.


 パワハラ行為者に対する処罰について他の選択肢を検討すればするほど,「宙組次回公演前に退団させる」しか考えられず,冒頭の一文に戻るのだ.



 「こっそり劇団から抜ける」などと書きながら,既に退団したパワハラ行為者(OG)の退団後のあれこれを思い出した.


 謝罪文を人伝に提出するのは,獄中の犯罪者であり,芸名を変えたり,顔を変えたり(←疑惑)するのは逃亡時の指名手配犯の行動である(F田K子然り…).


 パワハラ行為者ら,誰一人刑事告訴はされていないにもかかわらず,何故か振る舞いが犯罪者のそれと同じなのだ.


 この様子を見るに,退団後のパワハラ行為者らもまた,お天道様の下を大手を振って歩けないだろうと思った.