パワーハラスメント行為者や犯罪者の心理が理解できないためか，「宙組団員自死事件」におけるパワハラ行為者らが何を思って次回の宙組公演に出演予定であるのかはよく分からない．
しかし，もし「今後の舞台で最高のパフォーマンスをすることで，パワハラ行為によって失墜した自らの名誉を挽回したい」などと考えているのならば次回作出演は逆効果と思う．
被災者が亡くなっている以上，何をしても許されることはなく，パワハラ行為者の完全なる名誉挽回は今後も不可能だろう．
宝塚歌劇団は団員の命を粗末に扱うが，世間一般は劣悪な労働環境やパワハラによる自死を重く見ていることは劇団と取り引きのあった組織や個人の撤退からも見て取れる．
一部のパワハラ行為者が謝罪文を出しただけで，行為者の処分という贖罪の基本すら済んでない今，前段階をとばして行為者が表舞台に出ることは再度，宙組問題の波紋を呼ぶことになるだろう．
その中で，在団中のパワハラ行為者が今からでもとれる最善策といえば，「次回の宙組公演前に宝塚歌劇団を退団すること」しか考えられない．
筆者を含め，事件以来「パワハラ行為者が関わっている宝塚作品を雑音なしに観られない」というファン（元ファンを含む）は決して少なくないと思う．
パワハラ行為者が退団することにより，「観客が心から楽しんで観られない作品」をこれ以上，世に出さずに済む．
これまで熱心に応援してもらったであろう観客やファンに多少は報いることができる．
また，パワハラ行為者の名前等は公表されていないにしても，ファンや各報道機関にはほぼ特定されていることも踏まえると，パワハラ行為者の退団は劇団のパワハラ再発防止策として，ファンや世間に向けて取り組みの真剣さを示すには最も効果的と思われる．
何より，舞台に立ち観客に向けてパフォーマンスし，拍手を貰うことで名誉挽回・善行をした気分になれるのは生きている者のみの特権である．
己の罪悪感（あるのか？）を解消するために，パワハラ行為者らが涙を流し，会場の皆に故人への黙祷を促すこともできる．
亡くなった団員は「死人に口無し」とばかりに事件直後から尊厳を踏み躙られてきたが，今に至っても不公平を見せつけられているのだ．
そして，舞台に立てば，パワハラ行為者であっても発言する機会がある（宙組だけ今後，舞台挨拶・退団挨拶がないわけにはいかないだろう）．
その際，発言者のパワハラ行為者が事件に直接言及しなくとも，宝塚ファンがパワハラ行為者の挨拶の内容を誤って解釈し「やはり〇〇さんはパワハラをしていない！合意内容は嘘，××さんは無実！！」などと事実を歪曲して拡散しかねない．
こうならないためには加害タカラジェンヌの挨拶の内容も検閲が必要だろうが，十分な検閲ができる人材がこの組織にいるのか…．
パワハラ行為者のタカラジェンヌが劇団を辞めさせられない理由は諸説あるが，いずれも確実なものとは言えない．
しかし，事件前の劇団ならば，団員の退団を劇団が阻止していたこともあり得たかもしれないが，労基監督署の立ち入りがあった今となっては，辞めたい人を劇団が辞めさせない違法行為はほぼ不可能だろう．
仮に，現在も劇団が退団を阻止しているのであれば，パワハラ行為者は退団できるよう自ら労基を含め各窓口に相談することもできる．退団するために，やろうと思えば努力できることはまだあるのだ．
在団中のパワハラ行為者らが劇団において，故人と遺族のため，劇団のため，ファンのためにできることは最早，潔く（現時点で十分潔くないが…）退団することしか残されていないだろう．
パワハラ行為者らが宝塚歌劇の舞台から去ることで，遺族や故人のファン，宝塚ファン，世間に「生者の特権」を見せつけることを防ぎ，宙組内で新たなパワハラのターゲットが生じないよう団員の身体的・精神的安全を守って欲しいと思う．
最近，コンサートの舞台上に観客が立ち入る事があったらしい．
本件は和やかに（？）終わり，大事には至らなかったようだが，今後も舞台上に観客が乱入したり，最悪の場合，死傷事件やテロ行為等が起こったりする可能性は念頭におくべきだろう．
特に，宝塚歌劇団・宙組・パワハラ行為者らが世間の厳しい監視を続けられている中での宙組公演強行となると．
（※尤も，舞台乱入の観客やテロ行為者に悪意はないかもしれないが（←宝塚歌劇団の常套句））．
そして，最近の事例を聞く限り，そのような事態に劇団スタッフが対応できるのだろうかと思う．
劇団員と観客の安全面からも，宙組公演を強行するならば，パワハラ行為者らの解雇により宝塚や宙組への負のイメージを払拭し，テロ等の事件が起こりうる可能性を下げることが先に思える．
テロ対策が警備員の増員やゴミ箱の撤去，手荷物検査など「悪人は外からやって来る」と言わんばかりの対応のみならば，劇団は自死事件の要因が劇団内にあることを理解しておらず，この期に及んでも宙組を応援する有り難きファンをも蔑ろにしていると思われて仕方ない．
勿論，筆者はこのような形で宝塚歌劇団や宙組が消滅することを全く望んでいないため，これらが予言にならないことを祈る．