このブログは頭のおかしい筆者が、現実と虚構の区別がつかず謎の"感覚"に翻弄されて苦しむ様子を日記としてつけているもので、ただ1人の人以外には誰にも読んでもらいたくないと思っている日記です。事情をお察しいただき閲覧をご遠慮いただけるとありがたいです。

※小説はすべてフィクションです

 

土曜日にふたりだけのブログへ彼がアクセスしてくれたのはこのブログとは関係なく、もしかして1年前と似たような予定が出来たからではないか…GWの時と同じように1週間前にヒントを出してみて私が気づけば考えてみるつもりでもう一度チャンスをくれたのではないかと思いつき、ふたりだけのブログでひとりごととして問い掛けてみたがやはり返答はなかった。



昨年の今ごろ私は5年ぶりにかかったひどい風邪をこじらせていた。

滅多に出ない激しい咳に悩まされ

夜も休めないほどだった。

横になると咳き込んで

止まらなくなってしまうので

寝るのが恐怖になるほどだった。


折しも彼から

とある賭けをして賭けに勝てば

旅行に行ってやってもいいと言われていた。

賭けの結果は

宿泊先のキャンセル期限ぎりぎりまで

わからない状況であった。


しかし私は自分の体調からして

賭けの結果がどうであれ

無理だろうと思い始めていた。


滅多に体調を崩さない私が

ここまで咳き込みが続くのも

めずらしいことで、

そして大概のことは

だいじょうぶだと思える私が

旅行は到底無理そうに

気が遠くなったのだから

相当なしんどさだった。


世の中は既にコロナ体制は解除されていたが

何より彼やその他まわりの人へ

感染させる恐れもあるから

自粛すべきではないかという迷いもあった。


いつそれを言い出そうか…と迷いつつ、

それでも賭けの結果を見守ることにした。


賭けは彼の思い描いていた展開になかなかならなかったようで、彼が焦っているように見えた場面もあった。根回しをすればというようなことを促されたりもした。


しかし私は正々堂々と結果を受け止めたかったから根回しをするようなことはしなかった。


結果としてタイムアップギリギリで彼の筋書き通りになり旅行が決行されることとなった。


「あなたが元気になるようにたくさんお注射してあげるね」と言ってくれた。


しかし長距離を逢いに行けるだけの体力が自分に残っているかさえも不安なほどの体調だった。

もし彼の疲労具合に触れずに私が逢いたい気持ちを伝えたりすると、彼は容赦なくその配慮の無さを責め立てるのに、私には体調を考慮してやめておくかというような問い掛けはしてはくれなかった。


体調を迷いながらだったが、もうこんな機会は二度とないだろうしこれがお別れ旅行になるかも知れない…と思い、普段なら絶対に手を出さないステロイド吸入薬を吸い、風邪薬も服用した。

滅多に薬を飲まないだけあって薬の効き目は顕著だった。

どうにか旅行へ参加できるぐらいに持ち直せた。

とは言え、何日間か咳のために眠れない日々が続いていて完全な睡眠不足状態で頭は朦朧としていた。


土曜日の昼過ぎに待ち合わせてショッピングモールの地下2階からクルマに乗り込み、まずはインターチェンジの手前で昼食をとり、そのあとラブホで1度愛し合ってから現地へ向かうという予定を組んだ。

彼に必要なインターバルを現地までの移動時間で稼ごうという合理的考えからだった。


ブルーを基調とした薄暗いライトの部屋だった。時刻は15時を過ぎたところだった。

私は彼と愛し合う時はいつも照明を明るくして抱き合いたかった。

薄暗い中だとどことなく夢の中の出来事のようで現実感が薄いからだ。

誰と抱き合っているのかはっきりと目で見て確かめながら彼と愛し合っている実感を感じながらしたかったのだ。

女性としてはかなりめずらしい部類だろう。


この旅行では彼への慰謝として彼の念願だった動画撮影を決行する約束だった。

入浴を終えタオルで拭きながら彼は動画撮影をこれからすると考えただけで興奮して勃ってきた!とうれしそうだった。


ところが風邪で相当頭が朦朧としていた私は動画撮影で使うために用意してきたスマホ用の折りたたみミニ三脚を彼のクルマに置きっぱなしにしてチェックインしてしまっていることに気がついた。

彼は今からでも取りに行ってきてほしそうにしていたがラブホテルというのは一旦入室してしまうと精算しないと鍵が開けられないシステムなので我慢してもらうことになった。

***

彼との行為の最中は彼が私にいろいろ語りかけてくれるスタイルだ。

私は行為中に会話する人は彼が初めてだったのでいつも新鮮に感じていた。


「フラワーパークはどうするの…?」


ー雨だからね…お花も元気がないかもね…?


「ここも元気かどうか確かめてみるね?」


そういって彼が私の脚の間に手を滑り込ませた。

そして毎回のように驚かれる。

「なんで?!もうこんなになってる?!」


彼との時はいつも何もしていないうちからぬるぬるになってしまっていて場合によっては大量の糸を引くぐらいの時もあり自分でも驚いてしまうほどだった。

それだけ彼への愛情が溢れていた。


準備が整っている私に「即入れしてもいい…?」と訊いてこられたので承諾するとすぐに侵入され、大きな吐息を漏らし、いつものように感動してくれた。


「ぁ…最高…」

「本当のこと教えてあげよっか。賭けの結果がどうであっても最初から来るつもりだった。だってこんな機会、自分にとってもめったに無いからね!」


笑うのを堪えきれないような口調で
楽しそうに言われた。

「許す理由を探してただけだから!」


そうだったのか…

ずいぶんと削られた…


「最後は絶対旅行行くと思ってたでしょ?
 正直に言ってごらん」

―ううん。ないと思ってた。
 だからガッカリして風邪引いて
 声が出なくなってたんだよ



「今日は1回目は軽くでいいんでしょ?」
 甘出しぐらいにしとくから。」
「夜、元気が維持できるように
 あんまり出しすぎないように
 したほうがいいから。
 なかに出しちゃうと
 めっちゃ出ちゃうから
 外だしにしとこうか。」

―中に欲しい…

「中にほしいなんて言われたら
 興奮しちゃうじゃん」

―だってほしいんだもん…

 「大好き」


奥を突かれながら会話は続いた。

「なまでこれが出来るのにさぁ
 逃すわけないじゃん」

「わかってないね」
「文字を表面しか読まないからだ」

「最初で最後なわけないでしょ」
「チャンスは何回もあるでしょ」

「禁欲してきてほしいって言うから
 昨日はしてこなかった」

―1週間ぐらい禁欲してきてほしかった…

―いっぱい溜めて来てほしかった
 たくさんなかに出してほしいから…

彼の吐息が荒くなった。

「言わないで…」

キスで口を塞がれた。


「ぅあぁ…気持ちいい…」
「はぁ…どうしてこんなに感じるの…」

―一緒に逝きたい…

「そんな時は来ないかな」

―たくさん褒め言葉を言ってもらったら
 すごく感じるよ…


「本当のこと言うとね
 三人でいるとね…
 しあわせな気分になったよ」

「後からいろいろ言われるから
 言いたくなかったけど
 三人もいいものだなって…」

―よかった…



無言になった。


しばらく黙って動き続けていた彼だったが急に口を開いた。

「ごめん…!ごめん!
 全然持たなかった…
 過去最短レベルじゃなかった?
 逝くつもりなかった…
 タイミング間違えたね…」



―…話題が逝きやすい話題だったから
  逝っちゃったんじゃない?


「しょうがない」
「逝かせられる気配がなかったから」

―私が上で始めれば良かったね…
 あなたが上で始めると早いんだよ

―最初は私が自分で自分の良いところに当てにいくほうがいいんだよ

―今の動画に残しておかなくて良かったね。
 すぐ終わったから。

ふたりで爆笑した。

フィジカル的には
一回目が一番ベストが尽くせるかと
始まる前には言っていたが

話題が話題だっただけに
めずらしく10分で終わってしまったのだった。
前日に抜いてきたほうが長持ちするというのは彼の場合は本当なのかも知れなかった。

しかし精神が満たされることを
重視する彼だから
精神が満たされたぶん
早く出てしまったということでもあり

それだけ彼にとって5月2日のことが
しあわせな思い出になっていた証でもあり
持続時間の短さなど
どうでもいいと思うぐらい
私は心が満ちていた。


滞在時間は過去最短の1時間で

16時過ぎにはチェックアウトして

そこから1時間40分ほどのドライブになった。