※本ブログは全編フィクションです

ふと思い出したことがある。

ふたりで初めての旅行に出掛ける時のこと。

路上で私をピックアップするのは
人目につくとまずいと思った彼は
ショッピングモールの地下2階の駐車場にクルマを停めて私を乗せることを考えたようだった。

私に来た指令はショッピングモールの角で待っているようにというものだった。
はて、どの角で待てば良いか…と右往左往しながらどちらの方角から来るかも考え合わせ推理しながら待っていたところ、彼が「地下2階ってわかるかと思ったんだけど」というようなことを言った。

意味がわからなくて黙っていると
「いつもあなたがよく言うじゃないほら…」と、どうやら私がエスパーか何かだと勘違いしているような口ぶりだった。
彼からコメントやLINEの通知が来るより前に来ることがわかったりしていたからだ。

「地下に停めてるとか地下2階だとかわかるのかなと思って。さすがに地下2階までわかったらすごいなと思ってさ。」

わ か る わ け が な い。

私は 超 能 力 者ではない。

ただ単に強すぎる彼の〚想い〛だけが伝わってくるという稀有な不思議体験をしているだけのごく普通の人間なのだ。

それも〚彼限定〛の謎の"感覚"を感じるというだけで、それだって具体的な想いとか考えとか希望とか期待とか、そんなものは一切わからない。

そんな芸当が出来たらさすがに私もそれを職業に出来るだろう。

それを思い出すと、
もしかしたら今回のことも
帰省の1週間前にふらっと2人だけでやっていたブログにアクセス履歴を残して、自身のブログでヒントを出して、自分が帰省時に考えている計画を推理させて、私のほうから何らかのアクションを起こさせ私からお願いさせる流れにしたかったのかも知れなかった。

回りくどいやり方が好きな彼のやりそうなことだ。
そう言えば昨年のGW中も似たような謎解きを出され、自己肯定感の低い私は彼の心無い一言で心を打ち砕かれ、それ以上進むことが出来なくなってしまい、思考をめぐらせて合流する気力を失い、諦めてすごすごと帰途についたことがあった。そして後々に深刻なダメージを残すことになるひどい風邪をこじらせた。

やり方がスパルタ過ぎるのだ。
獅子が千尋の谷に子を突き落とす方式だ。
女性に対して恋人がする所業ではない。
恋人でなくても女性に対する扱いではない。

今回の帰省の計画についても
想いだけは"感覚"として強く届くものの

私自身としては、手段の如何を問わず私から連絡を取ってはいけない縛りがあるため、ただ待つしか出来ないと思い込んでいた。

先方からの問い掛けに対してのみ返信が許されていると認識していた。

だからあちらから何か言葉がなければ動くことは出来ないと考えていた。

こちらが何か投げかけたりするのはリスキーで、出来ることには限りがあった。どこまでなら許されてどこからが違反と取られるのか常に緊張して暮らしているのだから。

どうしても俺に逢いたいならそのぐらい頭を使えということなのだろうが、そもそもその計画は私から見れば「きっとほかの仲良しグループと行く予定にしているのだろう…私よりもずっと大切でずっと優先されるべき人々と行くに違いない」と思い込んでいた。いつもそう言われていたから。

実際その人々と冬に行こうとしていた話も読んでいた。片方の人がダメでももう一組の人と行くのかも知れない、そう思っていたから推理出来ていても私が何か出来るはずもなかった。

そして何より私には自分からそれを言い出す資格も権利ももう無いと諦めていたこともあった。先方からの誘いがない限りはダメだと思い込んでいた。

"感覚"を感じるたびにLINE、Eメールは確認していたが放置状態の2人のブログは盲点だった。
時々確認していたつもりだったが多忙な時期で見落としたようだった。

2月16日の朝の1アクセスも4月23日の1アクセスもどういう意図があったのか直接本人に訊いてみたかった。

誤解されているようだが
私 は エ ス パ ー で は な い。

わかるのは
彼が私を求めている、という気持ちだけだ。

それ以外のこまかなことなど、どんなに念じてもらっても一切わからないということを知ってもらいたい。

どきどきする"感覚"と
ブログへのアクセスタイミングは確実に一致していたことだけは確かだ。
"感覚"だけ来ていて結局何のアクションもないことのほうが多いからスルーしてしまうことも多い。

こちらとしてもどこまでなら約束違反と取られないのかどこからが違反と取られるのかその線引きも悩むところで頭を悩まされた1週間だった。

振り子のようにゆらゆらと
私に接近したり離れたりしながら
私を翻弄する人。

本当にその通り振り子のような人。