以下は私が個人的に感じていることで、思い込みも多分にあると思いますのでご了承ください。数字などはネット上で調べたことですが間違っていたら申し訳ございません。

 

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中学受験者数の増加は横ばいになりましたが、受験率は増加しているという話をよく聞きます。受験率が増加すれば中間層が増えるのは当然のことで、中堅校の競争が激しくなりそれが下位校にまで影響を及ぼしているのは、肌で感じるところです。ここで言う中堅校はY偏差値で45~55位としておきます。栄光ゼミナールが強い層でもありますね。

 

受験率の増加は首都圏の都市部で顕著で、特に文京区は約5割の子が私立中学に『進学』しています。中央区、港区、目黒区、千代田区、世田谷区も4割から3割を超える進学率です。進学が5割という事は、受験者数はそれよりも多いってことですよね。しかも、都立や国立を入れると数値はもうちょっと上がるという事でしょうか。個々の学校を見れば9割近くが受験するなんて学校もあると聞いたことがあります。

 

受験率が高い地域に住んでいると「中学受験」が身近で、触れる情報や機会も多くなるでしょうし、塾などの環境も整っていると思います。自然と選択肢の中に中学受験が入ってくる環境にあるかどうか、これは大きいです。ではなぜ首都圏で(特に都心部で)受験率の高い地域が出てきたのでしょうか。

 

人口が多い地域ではニーズの多様化が起こりますし、それに対応する形で私立中学の数は昔から多かったです。というか百数十年前から前身となる学校が出来その後も徐々に増えていき、需要があったから生き残ってこれたという事なのでしょう。団塊・団塊ジュニア世代の数による影響や学校群制度等による都立高校の凋落の影響も大きかったと思われます。

 

私が受験した約30年前から比べると中学校の生徒数は約282万人減っています。そんな中、私立中学の数は約20%(生徒数は約43%)増え、公立の数は約4%(生徒数は約43%)減少。なぜそんなことになったのか?

 

1970年代終わりに共通一次試験が導入されると大学受験は苛烈を極めました。私が大学入学を迎えた時に言われていたこと。

 

「一浪と書いて人並と読む」

 

当時、大学全体の定員は入学希望者に対して全く足りていませんでした。私の同級生にも一浪はごまんといましたし、二浪も結構な数がいました。三浪ですら珍しくありませんでした。大学受験に揺れる若者の生活を描いた漫画「冬物語」がヒットし、受験そのものを描いていなくても当時の青年漫画には「受験戦争」に関する描写がよく出てきます。

 

そんな中教育に「ゆとり」を!という声が高まり公教育「見直し」が進んだ結果、それに不安を覚えた富裕層を中心に私立志向がより強化されていった事も私立躍進の一因だと思います。あとは学校の環境の悪化です。ビーバップハイスクール、暴走族を代表するヤンキー文化や尾崎豊のカリスマ化等は当時の世相をよく反映していると思います。実は私の小学校時代も生徒たちの間で「あそこはの中学はヤバい」「荒れてる」「先生がまともじゃないらしい」などのうわさは飛び交っており、親たちの井戸端会議でもよく聞く話題でした。これは今でも変わらないですね。

 

ライフスタイルの変化も大いに影響していると思います。首都圏では生活コスト(特に養育費)が上昇し、共働き核家族世帯が増え子供の数が減少。少子高齢社会が急激に進行し子を持つ親は、せめてわが子には人並の安定した生活を送って欲しいと望む。子供の数が減った分、一人にかける教育費が上がっていく。

 

さてどうしようか?どうしたら安定した生活が送れる人間に育つか?

 

もちろん我が子が夢中になれることがあれば、それに向かって突き進んでもらってもいい。それがスポーツや芸術方面でもいい。

同じように、一定数は勉強に重きを置く家庭も出てくる。

 

ある家庭で、ふと横を見るとゲームをするか、スマホを見るか、サブスクの動画を見て日がな一日過ごしてる我が子がいる。。。

何か打ち込むことが出来たらそちらに行くとして、それまでは潰しがきくように勉強に力を入れよう。やりたいことが見つかったとしても、それが勉強をしてないと出来ないことかもしれない。英語がいいかな?数学かな?やっぱりまずは国語力だよね。勉強ならチャレンジ、公文、そろばん。。。そして塾。小学受験?中学受験?高校受験?

小学受験は明確な意思をもって親が挑むものだと思います。それは我が子の為に色々考えた結果でしょう。

 

中学受験をして欲しいと望む親の理由としてよく聞くのは以下のようなものでしょうか。

 

・教育プログラムや理念が素晴らしい。

・自分が中学受験をして今の生活を手に入れたので子供にもさせたい。

・両親ともに私立中学出身なので、公立の生活や高校受験に対する知識がない。

・地元の中学校は荒れているという噂を聞いた。

・公立中学の内申制度が信用ならない。自分も苦しめられた。

・我が子は相手が教師であっても強く自己主張をしたり、議論をしたりする。

・運動が苦手、音楽が苦手、家庭科技術が苦手、絵が苦手、副教科が壊滅的。

・小学校で友達との折り合いが良くない。

・小学校では授業がつまらなさそうだ。レベルの揃った中で同じ進度で学ばせたい。

・将来、外国で勉強したり仕事をしたり出来る幅広い選択肢を与えたい。

・高校受験だと入学直後から大学受験の勉強を始めなくてはいけない。

・中学受験なら青春を謳歌する時間がある。

・なんなら大学付属に入ってくれれば受験は一回で終わるし、上手くいけばその後の塾代もかからない。

・中学受験をして中高一貫校に入れば、先取り教育を受けられて大学の合格率が上がるし、うまくいけば実力より一段上の学校に入れるかもしれない。

・中学受験率の高い地域に住んでいるので、受験しないと無言のプレシャーが周囲からかかる。

・女の子なので、高校入試からだと私立の難関校の受け皿がない。

・男女問わず、私立都立の中高一貫校が増えてきていて、そこに行くには中学受験しかない。

・地元の中学が優秀すぎて逆についていけなさそう(内申がとれなさそう)だ。

・あまりにも勉強ができないので、面倒見がよく大学推薦枠が豊富な私立に入れてあげたい。

・設備が整っている学校で過ごしてほしい。

・反抗期が始まると進路について話し合うのも困難になりそうなので、今のうちに協力して中学受験に挑みたい。

・早く道筋をつけて自分(親)が安心したい。

・本人が中学受験を希望している。

・子供がやってるスポーツや文化部の強豪校に行って欲しい。

 

などなど。。。

 

もちろん高校受験を望むご家庭も多いでしょう。ただ上記の理由などから中学受験に魅力を感じる家庭も増えてきた。その中で高額な塾代や私立の授業料を払う余裕がある層が多く住み、豊富な私立中学の選択肢がある(もしくは生まれた)東京都や、内申制度が東京より厳しい神奈川県で中学受験率が上がっていったのではないでしょうか。

更には、高校授業料の完全無償化や東京都の私立中学助成金等も後押しとなり、中学受験をする層の裾野が広がっているのもあると思います。

 

乱暴ですが、何となくこんな流れがあったのかなと感じています。

 

もちろん、高知や京都、奈良、広島、和歌山、大阪、兵庫、宮崎など私立中学進学率が平均以上の県もありますし、埼玉や千葉のように首都圏でありながら平均を下回る県もあります。ただ、東京だけがあまりに突出していますし、特異であることからそこに注目してみました。

 

この受験率の上昇は当然東京周辺の中堅校以下の難化を招くのですが、それは今度また。。。