首都圏の中学受験では主要四大模試がありますね。今回は私立校受験の際受ける模試です。

 

模試はその試験の受験者内での立ち位置確認なので、そもそも互いを比べること自体に意味はないというか比べられないのですが、今回はその四大模試の偏差値に対する個人的なイメージを書いてみたいと思います。学校を、最難関、難関、中堅上位、中堅、中堅下位、下位の順と仮定しています。あくまで偏差値の数値上のものです。今現在偏差値が高くなくても、素晴らしい学校がたくさんあるのが首都圏のいいところです。逆に、偏差値が高くてもその子に合っていないと辛い結果になると思いますので、、、

 

S偏差値

ここではSAPIXの公開模試である、サピックスオープンに対する偏差値のイメージです。

難易度が高く、難関校以上を受ける人が立ち位置を知るのに適した模試だと思います、というか必須の模試かもしれません。受験者数は6、7千人位でしょうか。基本的に優秀層が受ける模試なので、偏差値50いくと基本部分は完全に習得出来ていて応用もある程度できるイメージです。50で中堅上位校2、3回目試験から上位校1回目試験位でしょうか。(このランクの学校で複数回試験がある学校は、回数が進むにつれて数値が上がる傾向があります。)他塾に通っている、最難関を目指していない人が安易に受けると心を挫かれる可能性があります。それをバネに出来る子は受ける価値があるかもしれません。SAPIXは5年生で全過程を終了し問題演習に移るため、進度の遅い他塾生が受ける場合はそれを念頭に置いておく必要があります

 

Y偏差値

四谷大塚の公開模試である合不合の偏差値のイメージです。

系列塾が多く、早稲アカなども含まれます。下位校から最難関校までまんべんなく参考になる偏差値だと思います。受験者数は1回1万2千位と言われていて、これを受けていれば他の模試を受けなくてもいいかもしれません。四谷大塚は5年生で全過程を終了し問題演習に移るため、進度の遅い他塾生が受ける場合はそれを念頭に置いておく必要があります。受験校が最難関のみに偏っている場合はサピックスオープンを、下位校に偏っている場合は首都模試を併せて受けると立ち位置がよりはっきりと確認できると思います。

 

N偏差値

日能研の全国公開模試の偏差値のイメージです。

四谷大塚と並んで伝統のある中学受験塾です。受験者数もレベル的にも四谷大塚によく似ています。やはりこれを受けておけば大体立ち位置がわかりますが、若干最難関校に弱い印象があります。偏差値表の数字よりも2、3高い数字が取れていた方がよいという話もチラホラ聞きますが、どうなんでしょうか。とにかく過去からのデータの蓄積が凄い塾です。四谷大塚の蓄積も凄いのですが、その昔四谷大塚の本会員生の立ち位置はSAPIXの上位生のそれでした。なので、日能研の方が上位校以下に強いイメージがあります。SAPIXや四谷系列より、日能研の方が全カリキュラムを終えるのが遅い(6年の夏前)ため、それを念頭に置いて受けるといいかもしれません。

 

首都模試偏差値

合判模試の偏差値のイメージです。

下位校から中堅上位校までならここ一択です。6年生の受験者数が1万を超えますが、難関校以上を受ける子は6年生になるとまず受けない模試なので、中堅上位以下を受ける場合この模試が一番立ち位置把握に役立つと思います。全模試に言えることですが、6年の夏前から難度か一段上がります。これは首都模試も例外ではありません。特に首都模試の場合、6年の7月までは試験範囲が決まっています。しかしそれ以降は全範囲が対象になり難度も上がるため、より立ち位置確認や苦手分野の洗い出しに役立ちます。中堅以下を受ける場合はうってつけの模試です。

 

アタックテストの偏差値

主要模試程人数は多くないですが、それなりに受験者数のいるのがアタックテストです。

栄光ゼミナールや新演習を採用している小規模塾が利用する模試です。受験者数は3000人位でしょうか。難易度は首都模試よりも上でSYNよりは下になります。アタックテストの偏差値から-5でYN、-10から-15でSAPIX、+5から+10すると首都模試の偏差値と言われたりしますが、参考程度です。受ける学年や時期にもよりますし、模試でわかるのは受験者の弱点と受験者内での立ち位置なので単純に数値換算など出来ようはずもありません。

 

アタックテストは年10回あります。栄光ゼミナール生は1~4回、6~8回、10回を受けます。5回と9回は受けない為、小規模塾でテストを受けた生徒が戸惑うことになります。受験者数が数百人しかいなくなるためです。

 

志望校判定回は2回と6回と10回で、この時が一番受験者数が多くなります。栄光の優秀生の親が、Catsで発表された順位よりもミライコンパスの順位の方が上振れるため戸惑ったりします。ミライコンパスは栄光ゼミナール生の順位で、Catsの順位は外部生を含んでいます。エクタス生や小規模塾の優秀者が抜けるため、ミライコンパスでの順位は高くなります。エクタス生からすると「何でこんな簡単な模試を受けないといけないんだ」という感じでしょうが、栄光の上位生からすると有益なのかもしれません。聞いた話ですが、栄光でTOP3でも、判定会のCatsの順位は20位近くだったりする事もあるそうです(回にもよりますが)。

 

志望校判定回はそれまで習った全範囲が対象になりますが、4年生の場合は判定回間の範囲のみやっていても点数が取れてしまいます。その範囲の前までが下敷きになっている前提ではありますが、、、しかし、5年の第2回以降の判定回(春期講習終わり)は4年生の範囲含めてのテストになるため、特に理社の範囲を軽くでも総ざらいしないと点数が取れなくなるため注意が必要です。よい機会なので見直しを欠かさないようにしましょう。

 

さて、アタックテストの偏差値や判定が役に立つのかどうかですが、、、使い方次第だと思います。

確かに受験者数は少ないです。まず通常回ですが他塾のマンスリーテストや組み分けテストにあたるものでしょうか。約一月の授業内容の習熟度がはかれます。ここで毎回苦手単元を潰していく作業を行います。

 

通常回の偏差値を基本として、志望校判定回の偏差値との差を見ることで対策が立てやすくなります。

 

1、通常回より判定回の偏差値が高い場合

一番良いパターンだと思います。通常回で判明した苦手部分を潰し、実力がついていってると推測できます。

 

2、通常回と判定回が同程度の場合

偏差値が高位安定の場合は問題がないのかもしれません。それ以外の場合は、間違っている単元に変化があるか、同じような間違いをしているのか、ケアレスミスが直らずに同じ点数になっているのか、通常回はケアレスミスがないのに判定回でケアレスミスをしているのか、等々いろいろと分析した上でそれぞれの対策を打つ必要があるように思います。

 

3.通常回が良く、判定回の偏差値が下がる場合

これが一番問題だと思います。国語の知識問題や理社に関しては短期記憶に頼っている可能性があります。短期記憶に頼るため、知識が定着しておらず、それをもとに推察したり思考したりする問題が壊滅的に不得手になっている可能性です。

 

子供たちによく

「理社、特に社会も暗記科目ではないんだよ、理解科目なんだよ。社会や自然で起きることは全て繋がっていて、立体的に理解した上で覚えないと役に立たないよ。算数も国語も独立した科目だと思い込みすぎるとよくないんだよ、全部繋がってるんだよ。」

という話をします。

 

勉強をして覚えたことは、材料として常に頭の中にある。解決しなければいけない課題にぶつかったときに、頭の中にある点が線になったり、立体的に組みあがってモノが出来上がる感覚。言葉で表現するのは難しいですが、それが出来るような知識の積み上げをしないといけないんだよ、という事を伝えるようにしています。

 

算数に関しては、解答の仕方を暗記して理解をしておらず、その上暗記しているパターンが少ない可能性があります。又は問題演習量が足りず、初見の問題を本質的に掴んで解答していく力が不足している場合かあります。算数の場合、なぜそうなるかをしっかり理解することに尽きると思います。これが出来ないと、やったことがある問題しか解けませんしやり方を忘れたらおしまいです。

 

アタックテストと他の模試との併用で課題をあぶりだすパターンもあります。

首都模試は進度が新演習と同じ位なので受けやすいです。難易度もアタックテストよりは易しいです。首都模試の偏差値がアタックテストを下回る場合は、注意が必要だと思います。首都模試も試験の結果を細かく見ることが出来るので、何が原因でそうなっているのかを分析することが必要です。塾登録をしておけば、塾の担任もすべて把握してるはずですので、先生に面談を申し込んで相談するのがいいかもしれません。

合不合やサピックスオープンは進度が違うため、そこは注意が必要です。ざっくりですが、合不合でアタック偏差値より-10、SAPIXで-15を超えてくる場合は分析と対策が必要な気がします。

 

アタックテストもその特徴を知っておけば十分に役に立つ指標だと思います。特に自分の弱点を常に把握する事を目的にした場合にはです。ただし、6年生の時は自分の受験校の偏差値帯に合った模試を併用することも必要だと思います。全体での立ち位置把握の為です。それも、秋口辺りの2回くらいが重要な気がしています。それ以降になると、志望校の過去問や個別の対策に力を入れる段階になるので、全体評価での模試にはあまり意味がなくなると思っています。

 

これらはあくまで個人的な感覚であり、イメージですので「全然違うよ、間違ってる」と思う方も多数だと思います。あくまでご参考までに、、、