【ハロウィン】
今週末は、ハロウィンという事もあり、各地で様々なイベントが開催され、仮装をされて街を練り歩き、ハロウィン商品も多く見かけられます。
今回は、そんなハロウィンについて、お話したいと思います。
ハロウィンの発祥は、2000年以上前にヨーロッパの古代ケルト人が行っていた祭礼が起源とされ、秋の収穫を祝うとともに、悪霊を追い払う宗教的な行事として、古代ケルト人の暮らしに根づいており、現世と来世を分ける境界が弱まる時として、死者の魂が家族のもとへ戻ってくる日として信じられていました。(まるで、日本のお彼岸みたいですね)
その時に死者の魂と一緒に悪霊もやってくる為、その悪霊に人間だと気づかれないように、火を焚いて仮面を着け、悪霊から身を守った風習が、ハロウィン仮装の起源です。
この土着信仰が、やがてキリスト教と結びつきキリスト教の諸聖人に祈りを捧げる「万聖節」の前夜祭となり、キリスト教において現世に戻ってくる死者の魂を慰める行事に変化しておりました。
ハロウィンの夜には、仮装した子どもたちが近所の家々を訪ね回り、家族のもとへ戻る死者の魂に紛れてやってきた悪霊に扮し「悪霊にいたずらされたくなければ、お菓子をちょうだい」とお菓子を貰いに家を訪れる模様は、映画などで見かけられた方も多くおられると思います。
ハロウィンでは、「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる、カボチャで作られたランタンを飾る風習は、古くからケルト人に伝わっている物語が元になっております。
悪事ばかり働いていたジャックという男が、生前自分の魂を狙った悪魔と「死んでも、地獄に落とさない」という契約を結んだ結果、生前に多くの悪事を働いたため死後、天国へ行く事が出来ず、悪魔との契約もあり地獄にも行けない為、行き場を失ったジャックが、くり抜いたカブの中に火を灯し、彷徨い続けているという事です。
元々カブなのにカボチャに変化したのは、アイルランド移民によってアメリカに伝わった時、カブよりもカボチャの方が入手しやすかった為に変化しました。
古代ケルト人が住んでいたアイルランドでは、伝統的なお祝いが続いており、古代の祭りの風習を色濃く残した都市ミースでは、お化け屋敷や怪物の舞踏会などが観光客を恐怖の世界へと導いてくれます。
また、イギリス領北アイルランドの都市ロンドンデリーでは世界最大級のハロウィンカーニバルのパレードが催されるなど、とにかく豪華なイベントがてんこ盛りです。
アイルランドでは、ハロウィンの夜に「バーンブラック」というドライフルーツが入ったケーキやパンを食べる習慣があり、中に指輪や硬貨、ボタン、布切れが仕込まれており、それによって運勢を占い、指輪が当たった人はその年、家族のなかで最初に結婚すると伝わっております。
アメリカでのハロウィンの夜に、子どもたちが仮装をして家を訪ねて回り、カボチャをくり抜いたジャック・オー・ランタンなど、子どもたちが喜ぶイベントの印象が強いですが、この日に盛り上がりを見せる、アメリカならではの大規模なイベントが各地で開催され、多くの人が本格的なメイクや衣装に身を包みパレードなどに参加し、大規模なお化け屋敷イベントを開催しています。
その他、同じ時期に開かれる風習で、メキシコの「死者の日」には故人の魂がこの世に帰り、13日間にわたり盛大な祭りが開かれています。
「死者の日」の起源は、2500年以上もさかのぼり、祖先のガイコツを身近に飾る風習で、スペインからの侵略時、アステカ文明の儀式がキリスト教の「万聖節」と融合し、現在の形となり、「死者の日」が近づくと、至る所にカラフルなガイコツグッズが溢れかえり、家庭や街には、フルーツで彩られた「オフレンダ」といわれる祭壇が用意され、死者の魂を迎える準備が始まり、メキシコの人々にとって「死者の日」は、死者とともに明るく楽しいひと時を過ごし、祭りを終えた後には死者が満足して死者の国へと帰れるように祈る日で、故人の親族はお墓の前で食事を楽しみ、楽器を演奏したり踊ったりと、それぞれ死者との交流を楽しみます。(沖縄のお墓参りも、先祖のお墓に親戚一同が集まり、ご先祖様と宴会を行う風習があります)
イタリアの「死者の日」は、故人を偲ぶ日として大切にされており、11月1日を「諸聖人の日」、11月2日を死者の日とし、この時期には多くの人が教会へ出かけ、墓参りをする姿は、日本のお盆のような風習です。
今や日本でも、クリスマスと肩を並べる存在となったハロウィンですが、「キデイランド原宿店」が昭和58(1983)年に、日本で初めてハロウィンパレードを開催した際、100人程がハロウィンパレードを行いました。
当時、ハロウィンの認知度が低かった日本で、このパレードは、世間で大きな注目を集め、参加者は年々増加し、平成9(1997)年には、東京ディズニーランドがハロウィン仮装パレードをアトラクションに取り入れるなどして、認知度が急速に高まり、全国各地でも様々なハロウィンイベントが開かれ、渋谷など大変な混雑になっております。
古代ケルト人の宗教行事から始まったハロウィンも、今や世界中に広まり、各地の文化や特性と合わさりながら発展し、日本では味わえないようなスケールのイベントも世界には数多く存在するのでハロウィンイベントを巡るのも、一味違った旅の楽しみ方かもしれませんね。

