【かぬれ君に聞いてみた:イギリス料理はなぜ、美味しくないの?】 | 座って半畳、寝て一畳

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【かぬれ君に聞いてみた:イギリス料理はなぜ、美味しくないの?】

 よく「イギリス料理は、美味しくない」と、お聞きますが、どうしてだろうと思われた方々も多くおられると思います。

 

 今回は、この不思議に我が家の物知り博士である「かぬれ君(チワワ6歳)」に聞いてみましたので、お伝えしようと思います。

 

 かぬれ君曰く、元々イギリス人は、牛肉を多く食べる反面、野菜をあまり食べないそうです。

 

 イギリスの土地は、かつての氷食地なので、土壌中に腐植層が少なく、多くが痩せた十地なので、ジャガイモなどの根菜類は、収穫できますが、他の野菜類があまり育たない土壌で、冬場の野菜不足は深刻な問題を解消するために、アイルランドを植民地支配し、農作物の供給地とした歴史があり、当時のアイルランド人は実質イギリスの農奴の様な扱いをしていました。

 

 現在、イギリスは立憲君主の政治体制を採っていますが、イギリス史上唯一共和制だった時代イギリスの支配階層となったのが、「ジェントルマン」と呼ばれる人たちでした。

 

 「ジェントルマン」は、たいへんプライドの高い支配層であり、服装やマナー、飲食など、生き方全般において、「俺たちはジェントルマンだから!」と独自の在り方を決めており、特に飲食に関して「ジェントルマンたる者は、暴飲暴食せずに質素な食事を好む」と決め、自ら厳しい生活を強いておりました。

 

 この為、料理の品数は少なく、肉を焼いたものをただ食べ、稀にスープが食卓に並ぶ程度の食事を400年近くも支配階層にいたジェントルマン達が質素な食事を推奨していた為、イギリス料理が発展せずに現在至る理由です。

 

 またフランス革命後にフランスと対立するようになると、フランス文化を排除していた為、食に関する進歩がしませんでした。

 

 さらに、18世紀後半にイギリスで産業革命が起こると、工場制機械工業によって大量生産が可能となった時代となり、都市部において仕事が増増しました。

 

 都市部では、就業人口の増加により、農村部から多くの人たちが都市部へと流入し、都市部の過密を招いた為、多くの農民が仕事を求めて都市部へ移住した結果、自給自足が可能だった農作物の不足を招き、お金のない低所得者層は、ろくな食事をとることができず、日頃の過酷な仕事によって栄養状態が悪化して行きました。

 

 そんな状況下の19世紀半ばになると、トロール漁法が発明され、魚が都市部にも流通し、イギリス名物の「フィッシュフ&チップス」が登場致します。

 

 それまで「焼くだけ・茹でるだけ」といった料理しか食べられなかった低所得者層にとって、大歓迎され、瞬く間にイギリス全土へ広がって行きました。

 

 一方、ジェントルマンは相変わらず「ジェントルマンはかくあるべし!」といった精神をさらに深化させ、イギリスでの支配階層であったジェントルマンが質素な食事を好んだことから、残念ながらイギリス料理の発展は、なかなか進まないという不幸な時代が続いていくのでした。

 

 当時のイギリスでは、若者が家を離れ、他の家庭に住み込みで家事に従事する「サーヴァント制度」というものがあり、社会に出る前の修業な様な事をしておりました。

 

 給仕や調理も仕事でしたが、料理経験のない若者が作る料理が、美味しい訳が無く、代々続く各家庭の味が引き継がれる様な事がありませんでしたので、日本で言う「おふくろの味」などというものは、継承されずに現在に至る為、温かみのある美味しい食事を家庭において食べる事が出来ない環境だった様です。

 

 料理の味というものはその土地の歴史と大変に関係性が深く、日本の様に何時でも「美味しいご飯」が食べられる国は、あまり存在しません。

 

 日本に生まれ育った事に感謝をすると共に、美味しい味を継承してくれた先人達に敬意を払い「いただきます」と「ごちそうさま」を心の中で唱えながら、今日も元気に食事をして、健康な身体を作りましょう。

 

 今夜は、色々教えてくれたかぬれ君のリクエストにお答えして、さつま芋を蒸かして一緒に食べる事と致しましょう。