【七転び八起:大量調理で作る炒飯】
遅く起きた休日、なんとなく眠気が残りボ~としていると、無性に炒飯が食べたくなりましたので、栄養士として病院の厨房で働いていた時に作っていた炒飯の事をお話させていただきます。
日本人になじみのある中華料理と言えば、ラーメン・餃子・炒飯を思い浮かべますね。特に炒飯は、お店から家庭まで幅広く調理され、人の数だけお好みの炒飯がございます。お店や家庭で作る炒飯は、中華鍋やフライパンで具材とご飯を炒めて作りますが、病院などで作る大量調理(数百人分)の炒飯は、特殊な作業工程で作られます。
炒飯を数百人分作る場合、熱した鍋にご飯を入れて炒めると、熱い鍋肌にご飯がへばりついて悲惨な状態になります。かといって、1人前ずつフライパンで数百人分を作る事は実際に不可能な為、大量調理で炒飯を作る場合の場合は、回転窯という巨大な鍋で一気に調理を致します。(被災地で自衛隊が炊き出しをしている様なイメージです)
回転窯(蒸気)に油を入れ、仕込み担当者が、みじん切りにした野菜(ネギ・人参など)を軽く炒め、取り出しておきます。
(お肉禁止の人がいるので、必要な分を分けます)
お肉屋さんが5ミリ程にカットした豚肉に醤油とお酒で下味(数時間前)をしたものを回転窯で炒めて火が通った所へ、先程の炒めた野菜を加えてよく混ぜ合わせ、鍋肌の熱が冷めた頃、炊き上がった大量のご飯と調味料(塩・コショウ・顆粒コンソメ・醤油など)を肉と野菜の中に投入し、食品用の巨大なスコップを使用して土木作業の様にすくいながら混ぜていきます。
(調理作業というより建設現場で働いている様で、汗だくになります)
よく混ぜ合わせた後、大きなバット数個分け入れて、盛り付けを行います。盛り付ける時には、茶碗に盛り、逆さまにしてお皿に乗せると、中華屋さんの炒飯の様になり、グリンピースをのせれば完成です。
出来上がってから盛り付けし、配膳車(温)で保温したものが、夕食の時間に病棟の患者さんの所へ配膳されるので、中華屋さんで食べる炒飯の様なクオリティーは、ありませんが、入院中に炒飯が食べられるという事だけでも患者さんのモチベーションは、上がるようで、人気メニューの上位になっております。
炒飯と言うより中華風まぜご飯なのですが、数百人分を一度に作る場合は、このような特殊な方法を用いて作りますので、食べてみると意外と炒飯の味がいたします。
数百人分のご飯を作る事は、一般の食事を作る過程と根本的に異なりますので、貴重な経験が出来たと思います。
人生無駄な経験は、無いという事ですね。
