【銀座・空也もなか】

 銀座に空也もなかという「幻の最中」が存在する事を御存じでしょうか?

 

 明治時代から続く、空也という1店舗のみで販売され、予約で売り切れてしまう為、当日お店に行っても入手困難な状況です。(予約必要)

 

 空也は夏目漱石をはじめ林芙美子、舟橋聖一など明治から昭和にかけての文豪たちから懇意にされ、『吾輩は猫である』など、彼らの作品の中で「空也もなか」がしばしば登場しますので、注意深く読んでみられると良いでしょう。(私は、まだ読んでおりませんが)

 

 「空也もなか」は、2、3口で食べられる小ぶりの瓢箪型をしており、焦がしたもち米の皮は中央に凹字で「空也」と刻まれ、中は小豆餡が入っています。

 

 隠し味なしでシンプルに小豆と砂糖で作ったすっきりと控えめな甘さの餡と、香ばしくほんのりほろ苦い皮のコンビネーションが、空也最中のおいしさを引き立てくれます。

 

 できたては皮がパリッとして餡が中から飛び出してくることもありますが、日数が経つと皮と餡が馴染んでサクッとした触感が日ごとに変わってゆく、味わいの変化も空也最中の楽しみ方の一つですので、お好みの味を探してみるのもよいでしょう。

 

 一年を通じ常温で1週間ほど日持ちしますので、硬くなった場合は数個まとめて鍋に入れて水を加えると、大変おいお汁粉になるので食べきれないときでも、無駄になりません。

 

 空也最中の一番の特徴は、「焦がし種」とよばれる香ばしいもなかの皮にあります。代々付き合いがある専門店の種萬に特注し、瓢箪の形は、もち米で作った四角い餅を圧して型にしている為、跡が四角く残って見えます。

 

 またそれを軽く焦がして風味をつけております。

 

 初代店主が、贔屓にしていた九代目・市川団十郎の楽屋を訪ねた折、団十郎が長火鉢の引き出しから最中を炙っていたのを、美味しそうに感じ、表面を焦がしたことが始まりと言われています。

 

 餡は、北海道の契約農家から仕入れている小豆を朝から仕込み、それに白ザラメで炊き上げたの地、水飴でつやを出し、仕上げています。

 

 添加物や保存料は使用せず、丁寧に作られた餡は、絶品でです。

 

 煮え具合や、水分の蒸発具合、香りなどは熟練の職人が入念に目を光らせ仕上げた職人技の塊のような、餡を皮に詰めている為、数に限りがあるので予約なしで買うことはほぼ不可能と言えます。

 

 以前、「空也もなか」を予約し購入後、紙袋を持って、「銀座とらや」の暖簾をくぐった所、店員さんが近寄って来て、「それ、空也最中ですよね?よく入手できましたね!」とキラキラした目で、話しかけられた事があります。

 

 皆さんも、今日一日、頑張ったご褒美に、明治時代から続く歴史ある「空也もなか」をお茶のお供にして、文豪たちと同じ幸せな時を共有してみるのも、良い時間の過ごし方かもしれませんね。

 

空也 もなか 銀座の店舗で予約なしでも当日買える!

 

今日のおやつはこれ

 

 

 

 

 

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