今夜ご紹介する本は、

マイケル・ザドゥリアン

小梨 直(訳)

「旅の終わりに」です。



妻のエラは癌の治療中、

夫のジョンは認知症。

人生の最終章を迎える老夫婦。

子供と医師の忠告を無視して、

ルート66でアメリカ横断を決意する。

かつて一家で出掛けたキャンピングカーで

懐かしいディズニーランドを目指すも、

この二人、誰がどう見ても

大丈夫な訳がない!

頭の機能は衰えても

ドライビングテクニックだけは

冴え渡るジョン。

途中で強盗にあったり、

妻のエラが

置いてけぼりにされそうになったり、

とにかく目が離せない。

軽やかなタッチで描く

夫婦の生きた重み。

人生最後の珍道中かと思いきや、

この旅自体が人生の縮図だった。

本国でもラストシーンは

賛否両論あったけれど、

何故か前向きな選択に思える。

自分のことは自分で決めたい。

もう充分生きたし、

最後は一緒に逝こう。

読み終わると作品のタイトルが

そのものズバリであることに気付く。