こんにちは。

 

 

18世紀英国文学のパミラを読み終えたので読書感想文を書きたいと思います。

著者はサミュエル・リチャードソンです

 

サミュエル・リチャードソン

1689年名誉革命の年にイギリスで生まれる。労働階級。

1721年から出版業や印刷業をはじめ、ロンドン出版界で成功を収めます。

1739年 50歳で執筆開始し、2か月足らずでパミラを執筆。

 

印刷業を営んでいたリチャードソンが小説を書きはじめたのは

出版者の友人2人から

「日常生活において手紙を書くのに不自由を感じるような人のための手紙の文例集を執筆して欲しい」

と頼まれたことがきっかけでした。

ついでに行動規範となるようなものにしたいと考え、友人から聞いた実話をもとにパミラを執筆します。

 

 

 

二巻合わせて現在の値段で1万〜1万5千円程度だったようですが、異例の売れ行きだったようです。批評やパロディ、パミラのその後などの作品も続々出たようで反響が大きかったことが窺えます。

 

 

 

パミラは書簡体と呼ばれる語り口で書かれており、読者はほとんど全ての物語を手紙を通じて読み進めることになります。

 

ただ、手紙の描写に流石に無理が生じて著者が介入しているところもあります。

 

 

 

近代小説の起源と言われる所以は、

市民が普段使う散文で書かれたフィクションであり、

近代市民社会において人々がどのような人生を送るかがテーマになっているためです。

 

 

あらすじ

ある地主のもとで働く美しく無垢なメイドのパミラが紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。

貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴る。

英国の古典として、そして世界の小説史の中でも不動の位置を占める書簡体小説。

(紀伊國屋書店HP)

 

 

 

 

以下心に残ったフレーズです。

第2巻の‘ご主人様のお指図’からが多いです。

 

 

結婚して少し経つとね、途端に身だしなみがだらしなくなる女性が少なくないように思う。そういうのはまるで、

その女性が、自ら手にした愛情を少しも大事にせず、

恋人同士だったときにはこれっぽっちも見せなかった夫への軽蔑を示しているように見えるんだ。

 

僕は君の半分も完璧ではないからこそね、君が君の良さを後退させるのを許すわけにはいかないんだよ。

 

 

今話したような女性はね、

いつでも戦闘開始というような調子で、しかもこれがなかなか手強いんだ。

退却しているくせに後ろ向きで矢を放ったという昔のパルティア人より始末が悪い。

だって、必ず攻撃を再開し、戦闘をいつまでも続けようとするのだから。

 

 

意気消沈するようなこともあるだろうし、逆境に苦しむこともあるだろう。

でもそのせいで、この可愛い顔からその素敵な表情を失ってもらいたくないんだ。

それこそ君の美しさなのだから。

何か面白くないことが起きたら、

どんなに間隔を空けても15分ごとにね、表情が曇っていないかどうか疑って、鏡を覗いてみるといいよ。

憂いが浮かんでいる、あるいは浮かびつつあるようだったら、すぐにそれを追い出し、

心配のあまりにできたシワを伸ばしてね、元通りの穏やかな表情を取り戻してほしいんだ。

だからこんなふうに表情を穏やかにするっていうのは、気持ちを穏やかにするってことにもなるんじゃないかと思うんだ。

 

 

僕に何かをしてくれる時には、それが嫌々ながらであるとか、ビクビクしながらであるとか、疑いを持ちつつであるとか、そういう様子はたとえごくわずかであっても、絶対に見せてほしくないんだ。

 

 

嵐の時にはね、必死でそれに立ち向かおうとする樫の木みたいにするのではなく、ほっそりとした葦のように柔らかく身をかがめてくれさえすれば、僕は君のことをありがたいと思い続けるのだから。

 

僕の友人を大事にしてほしい、僕のためにね。

僕が誰を連れてきても、気さくで快活にしていてほしいね。

僕にどんな過ちがあったとしても、人前で僕のことを非難したりしないでね。

少なくとも、僕よりも私の方が正しいというような、そういう勝ったそぶりは見せないでもらいたいんだ。

 

 

 

ご主人からパミラへの要求多すぎて笑いました。

 

でも、要求に理由がきちんと添えた言い方をしているのは好感度高いですね。

 

穏やかな表情が穏やかな気持ちにつながるというところは、アランの幸福論の‘微笑みたまえ‘を思い起こしました。

 

あとこのお指図たちを読むと、男性が妻に望むことってこういうことなのかと思いました。

 

 

第一巻のセクハラを回避するくだりはテンポが良くて、次々読み進めたくなります。

第二巻は、教訓めいたことが何度も繰り返し書かれたりしていて少し胃もたれします。

 

全体通した感想としては、

時代背景も階級などの制度も違う18世紀文学とは思えないほど入り込んで読める作品です。書簡体が大きく寄与していると思います。

 

 

途中で一度記事が消えて白目になりましたので杜撰な感想になってしまいました。すみません。

ありがとうございました。