既報のとおり今年の5月も、というよりは今年は例年にも増して、憲法をめぐる危機感が増すなか、全国各地で反戦・平和への切実な思いを新たにする集会・講演会が行われました。

メジャーなメディアも、それを広く報じました。

 

リンク集 2024年5月(憲法記念日特集) | 砂川平和ひろば Sunagawa Heiwa Hiroba (ameblo.jp)

 

砂川平和ひろばの地元・立川市では、「市民のひろば・憲法の会」主催による憲法集会が、5月3日に立川柴崎学習館ホールで開催されました。

1987年に発足した「市民のひろば・憲法の会」は、毎年の憲法記念日に集会を開催するほか、さまざまな市民活動を展開してきました。

今年の憲法集会は、同会と同じ1987年生まれのフォト・ジャーナリスト安田菜津紀さんをゲストに迎え、広い会場がびっしり満員の盛況でした。

最終的な主催者発表によると、参加者は245人。2024年7月10日追記

 

 

 

安田さんは、世界各地の紛争現場に足を運び、現地の人々と直にふれ合い、特に子供たちの声や表情を私たちに伝える活動をしています。

そんな彼女にとって、パレスチナ自治区・ガザをめぐる昨今の状況は、SNSで親しく交流していた現地の人々との通信が途絶えるなど、個人的にも非常に辛く耐え難いものであることが察せられます。

それでも、砲弾・銃弾によって普通の生活が脅かされてきた人たちに対して、これまで日本が明確な敵となることはなかった、日本製の武器・弾薬で殺傷されることもなかった、ということは救いであり誇りであったに違いありません。

それが日本の憲法の世界的意味なのだと、あらためて実感しました。

 

安田菜津紀さんの他にも、さまざまな市民運動や憲法を生かし守るための訴訟活動を行ってきた人々が、憲法の具体的な条文・文言に則って訴える言葉には、説得力がありました。

 

また「市民のひろば・憲法の会」恒例の憲法集会の特徴は、講演会場の中だけでなく、ホールで繰り広げられるパネル展示や絵本展のユニークさにあります。

それらはすべて、反戦・平和の思想はもとより、自由で民主的な言論活動、差別や健康の問題に機敏に対応する行動力をとおして、憲法の精神を日々生かし続ける生き方そのものを表象しているようです。

年に一回のこのイベントには、どれだけ多くの市民グループが集い、どれだけ多くの人々の努力が積み重ねられてきたのかを、うかがい知ることができました。

 

以下に紹介し、最後に集会アピール全文を掲載します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年 憲法集会アピール

 

 能登大地震より4ヶ月、がれきの撤去もインフラ復旧も滞っています。各地で地震が頻発しているにもかかわらず、電力会社も国も原発を稼働させようとしています。一刻も早く原発に頼らない復興の道筋が整えられるよう願いたいと思います。

 

 私たちは、<基地の町>立川で、反戦・平和を求める市民を主体とした手作りの憲法集会を1987年にスタートさせ、今年で38回目をむかえました。多くの方々の反戦・平和への想いに支えられた市民活動の成果だと考えます。しかし、米軍横田基地の基地機能の強化、基地からのPFAS汚染の広がり、横田基地所属オスプレイの屋久島沖墜落や、自衛隊配備オスプレイの立川基地への飛来も続いています。

 

 世界の中で「憲法9条」を生かしていきたいという私たちの願いとは裏腹に、防衛費は5年間で43兆円を超える大幅な増額となりました。岸田首相は「戦闘機の第三国への輸出は国益である」とさえ言っています。次期戦闘機などの殺傷武器の輸出解禁は、私たちの税金で世界の人々を殺傷することにつながります。また日本とアメリカは、自衛隊と米軍の連携を強化し、沖縄周辺の海と空では、台湾への圧力や海洋進出を強める中国を念頭にした「日米共同作戦」の訓練が行われ、南西諸島へのミサイル配備もなし崩し的に進められています。求めるべきは軍事的緊張を高めないための外交努力であるはずです。

 

 「政治と裏金」の問題では岸田政権は国民の厳しい審判を受け、衆院補欠選挙では自民党は大敗しました。しかし国民の声を聞き入れない強権的な政権運営は続いています。定時制高校を廃止、朝鮮学校の助成無しなどの教育の差別化、福祉や介護、年金の不足などによる生活の困窮化など、人権をないがしろにする政治は放置されたままです。

 

 世界の戦火はとどまるところを知らず、武力の応酬は収束の兆しがみえません。ロシアによるウクライナ侵略戦争は3年目になり、犠牲者が増え続けています。またイスラエルの一方的進撃を受けているパレスチナ、ガザ地区では、ジェノサイドともいうべき殺戮が続き、死者は3万人を超えました。そして、多くの人々が家を追われ悲惨な避難生活を余儀なくされています。

 

 私たちは「平和憲法」の原点に立ち、今こそ「殺すな! 即時停戦!」の声を上げ、世界に届けていきたいと考えます。

 

2024年5月3日

立川憲法集会参加者一同