これまでの記事でも何度かふれたように 

砂川平和ひろばが企画・主催する講演会や上映会などの多くが

砂川学習館の2階講堂(約130平方メートル 定員120人)で開催されてきました。
砂川学習館は

旧砂川町役場(砂川町は1963年に立川市に編入)があった場所に建てられた

2階建ての建物で 立川市のHPによると 1973年に竣工し

その後2007年に 砂川学習館として再スタートしたものです。

 

砂川学習館(立川市HPより)

 

以来 地域住民の生涯学習や子育て支援のために活用され

立川市砂川地域の歴史と文化の資料コーナーも併設されています。
砂川学習館1階ホールの片隅に設けられたこの資料展示コーナーには

砂川平和ひろばの行事参加者も 多く立ち寄っています。

砂川闘争の現地を訪れる人々にとって 

砂川の歴史と砂川闘争の一端を示す写真パネルや

測量隊の到来を知らせるために打ち鳴らされた半鐘などの実物展示は

ここでこそ歴史のリアリティを感じさせる 貴重な史料であり文物でした。

その学習館の老朽化に伴い 立川市が建て替え計画を進めるなかで

歴史展示スペースの縮小 あるいは撤去・移転の話が

漏れ聞かれるようになってきました。

2021年の立川市議会議事録には この件をめぐる木原宏議員の質問と

大野茂教育部長の答弁が記録されています。
 

砂川平和ひろばでも この問題を重視し 現地に住むメンバーを中心に

説明会や意見交換会に参加したり また賛助会員向けに発行する

『砂川平和ひろば通信』2022年春号(No.6)で とり上げたりしています。

今後も 砂川での歴史展示の意味を再認識し

展示スペース存続を求める声を上げていきたいと思います。
 
以下 まず『砂川平和ひろば通信』に掲載された記事に依拠して

2022年春までの状況を簡潔にまとめ さらに

その後の状況についても 新たに補足してみたいと思います。

最後に 参考までに

2022年6月16日付で報じられた毎日新聞のネット記事のURLを貼っておきます。
 

 

  砂川学習館の建て替えと砂川の歴史展示をめぐって


立川市は現在、人口減少・少子高齢化・公共施設の老朽化への対策として、市内の小中学校、学習館等の再編を計画している。砂川平和ひろばの圏域では、「砂川学習館に多世代交流の機能を加え、減築して建替え」る計画が示された。学習館の持つ「生涯学習機能」は維持、と明記されている一方、現在1階ロビーに設置されている「砂川の歴史」展示コーナーの処遇については明記されていない。

2021年9月の市議会で、木原宏議員より「砂川闘争の資料」の展示について「政治的にいろいろな思いがある」ものであり、新施設には「政治色があまり強く出るものは置かないでほしい」という住民の声がある、という発言があった。ただし木原議員も「砂川闘争というのも砂川の大きな歴史」であり「砂川地域の歴史をどう後世に伝えていくのか」は重要な課題であることは認めている。

その後、2021年12月の市議会定例会では、若木早苗議員から歴史展示の維持を確認する質問があり、小町邦彦教育長からは床面積の21%減を理由として「専用の常設の展示コーナーは設置せず、展示機能につきましては作品展等にも対応するため、壁面等を利用して確保する」との考えが示された。

これに対し、市議、砂川学習館運営協議会、地元住民からなる「砂川中央地区まちづくり推進協議会」、および平和ひろばのメンバーなど、様々な立場の市民が声を上げ、市に説明を求めてきた。

こうした運動の成果もあり、今年3月19日に砂川学習館で行われた市の説明会では、教育部長より「砂川の歴史については壁面に常設展示を行なう」ことが明言され、「平和資料館」の構想についても言及された。



学習館建て替えに伴う展示について 2022年4月以降の動き

年度替わりの人事異動で学習館の担当である教育長と教育部長が交代しましたが

地元住民の活動も 市議会での質疑も 続いています。
「砂川中央地区まちづくり推進協議会」は 市のまちづくり部に対して

展示コーナーが無くなることへの疑問を申し入れ さらに利用者団体を中心に

「砂川の歴史文化展示コーナーを存続させる連絡会」を結成しました。

砂川平和ひろばの福島京子も、その共同代表となっています。


展示コーナーは 砂川学習館の 併設 施設 という 扱いですが

建て替え案 では 併設施設を 外すという 形 で 

2 階の 展示部分を 使い ICT 活用 での展示  という 話もあるようです。
連絡会はあらためて市長あての「要望書」を 以下のとおりまとめ

6月 29 日に提出しました。

その後記者会見を開き、毎日新聞、東京新聞、共同通信などの参加を得ました。


立川市長あて「要望書」
2022年6月29日
立川市⾧ 清水庄平 様
砂川の歴史文化展示コーナーを存続させる連絡会

現在砂川学習館の併設施設として市ホームページで紹介されている「立川市砂川地域歴史と文化の資料コーナー」は地域に関する貴重な資料提供の場となっています。当コーナー設置は、市が積極的に進めてきた市民と行政との協働によるまちづくりの成果のひとつである2009年「新庁舎周辺地域まちづくり方針」を踏まえたものです。そこではまちづくりの基本的な方向性として「砂川闘争の来歴を踏まえた穏やかで平和的な土地利用」があげられ、さらには、歴史文化交流機能を有する施設として「平和祈念館(仮称)」設立などが提言されています。

 

また立川市第4次⾧期総合計画・後期基本計画では、地域学習館における地域の課題解決支援機能の強化がうたわれています。さらに2022年度から小中学校において「立川市民科」が教科化され、児童・生徒が地域に根差した学習を通して平和で民主的な社会の形成者となることが望まれています。


これらのことから、砂川学習館の「立川市砂川地域歴史と文化の資料コーナー」の果たす役割はますます大きなものになると考えられます。


私たちは、砂川学習館をはじめ市担当部局が積極的に地域に関する資料提供を通して、引き続き地域の課題解決支援のための役割を果たされるよう下記のことを要望します。


1, 砂川学習館での砂川地域の歴史と文化に関する資料の常設展示と、その充実を図ること。
2, 展示に際しては、歴史・文化をより深く実感し理解できるよう実物展示も行うこと。



政治的に押しつけられた「分断」を超えて


先にふれた2021年9月の市議会議事録によると

木原宏議員が地元住民の声として指摘した内容は 以下の3点に要約できます。


1 

学習館の建て替えによって、新しく地域コミュニティ機能というものが入ることへの期待が大きい。
2 

機能の複合化というと聞こえはいいが、学習機能と地域コミュニティ機能は、きちんと整理しないと相性が悪くなってしまうのではないか。
3 

砂川闘争については、四番組を含めて非常にデリケートな課題。

親族が考え方の違いでばらばらになって疎遠になったようなつらい記憶を想起する方も多い。政治色があまり強く出るものは置かないでほしいという人が意外と多い。

「学習」や「政治」というものに違和感や不快感を覚える ということが

代弁されているように思われます。
突然の米軍基地拡張計画に対して 町議会をあげて反対した砂川町も やがて

調達庁が示す条件を受け入れる人が多くなったことは 事実です。

そのために 町や親族が分断されるような事態が生じたことは確かだとしても

それは 反対派であれ条件派であれ

住民自らが望んだり招いたりした結果ではありません。

そのことの政治性を見失っては

分断を乗り越えることは難しいのではないでしょうか。

そして何よりも

測量が中止されたのも 基地拡張計画自体が取り消されたのも

地元住民を中心とした粘り強い反対運動があったからだといえます。

拡張予定地に残った23戸が 最後まで反対しなければ

住民の分断は避けられても 町は延長された滑走路によって物理的に分断され

その滑走路にふさわしい新型のジェット機によって

静かな暮らしを奪われたことでしょう。

その爆音や墜落のリスクは 拡張予定地の隣接区域に住み続ける住民に

分け隔てなく及んだはずです。

 

  砂川平和ひろばの展示パネルより                                                            
                      

 


立川市の説明によると 学習館立て替え計画は 現在実施設計段階にあり

9 月には概算要求の見込みだとのことです。

「砂川の歴史文化展示コーナーを存続させる連絡会」は7月7日にも会合を開き

教育委員会 との打ち合わせで 具体的な展示スペースや内容等について

話し合いを続けたい意向です。

まさに 「砂川闘争というのも砂川の大きな歴史」であるという認識を共有し

「砂川地域の歴史をどう後世に伝えていくのか」

忌憚のない意見を表明し合い 立川市側もそれを受け止めて

民主的なプロセスが機能するよう 期待したいと思います。

 

 

【参考】毎日新聞 2022/6/16 06:30(最終更新 6/16 19:31)

砂川闘争の展示縮小 住民が反発「地域の歴史学ぶ場なくなる」 | 毎日新聞 (mainichi.jp)