このブログを書いた時、

 

思い出して、またすぐ忘れてしまった映画「ミッシング」

また、ポコっと浮かんできました

 

73年9月南米チリで起きたクーデターの最中、一人のアメリカ人青年チャールズ・ホーマンが失踪した

彼の父親エドと妻のベスが思想信条の対立を抱えながらも、

行方不明の息子、夫探しに奔走する

 

やがて、クーデターの裏の米国CIAの暗躍と、

偶然それを知ったチャールズがクーデター反対派と共に惨殺され、死体を壁に塗り込められた事実が判明する

 

裕福でゴリゴリ保守、

ラジカルな息子夫婦とは意見が合わなかったエドだったが、

全てを知り、

キッシンジャー国務長官を殺人罪で告訴するも、

それは退けられた

 

 

実話をモデルにした82年カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品。

監督・脚本は社会派、「Z」などのコスタ=ガブラス。

尚、本作で83年アカデミー賞脚色賞を受賞。

音楽は82年「炎のランナー」でアカデミー賞作曲賞を受賞したヴァンゲリス。

出演はジャック・レモン(カンヌ映画祭主演男優賞)、シシー・スペイセクなど。

 

 

 

 

1982年春にパルム・ドールを受賞し、

同年には「炎のランナー」のテーマでアカデミー賞を受賞し、

日本でも大ヒットしたヴァンゲリスが音楽を担当

 

ヴァンゲリスは、翌年公開された「南極物語」の音楽も担当

 

この頃は、

ヴァンゲリスは「ブレードランナー」の音楽も担当して、

なんて言っても、皆さん、「はあ?」でしたが

 

 

まあとにかく、宣伝材料には事欠かなかった筈の「ミッシング」でしたが、何故かひっそりと公開された本作

 

サスペンス映画としても普通に面白い作品でした

同じシーンが、話す者によって少しずつ違う

誰が嘘をついているのか

 

戒厳令下の深夜のサンティアゴ、

逃げ惑う白馬、機関銃を撃ちながら追いかけ回す軍のジープ

軍の残虐さ、無法さを象徴したシーンでした

 

 

客の入りがよくなかったは残念でした

そして違和感があったのはその字幕

 

舞台はチリの首都サンティアゴなんですが、

その地名をことごとく「首府」と字幕表記していたのです

 

耳には当然「サンチャゴ」とか「サンティアゴ」といった感じで聞こえているんです

 

作品公開当時でも、

チリの軍事クーデターの背後にアメリカがいたことは、

公然の秘密でしたから、

何を今更チリ風味を隠そうとしているんだろう?

配給会社は誰にどんな遠慮をしているんだろう?

と不思議に思ったものでした

 

 

上に書きましたように、

本作は83年アカデミー賞脚色賞を受賞

同じく、作品賞と主演男優賞にノミネートされました

 

当時、

本国アメリカで「反米映画だ」なんて悪評が立ったかどうかは知りませんが、

配給会社の影響力のある誰かがそう思ったんでしょうか

字幕担当者が勝手にそうするとも思えません

 

くだらない事に拘るねって言われそうですが、

でもね、私はこういうの気になっちゃう質で

 

 

この映画は「南米某国の架空の話」ではなく、

 

チリの軍事クーデターをCIAが指図した、

それを知ったのがラジカルな米青年だったので、

クーデターに巻き込まれた事故に見せかけて殺した

それを知った父親が国務長官を殺人罪で告訴した

告訴は退けられた

 

その史実が本になり、映画になった

登場人物の氏名も実名です

チャールズ・ホーマン

 

少なくとも、事実だと認識して作者は映画を作った

その作者の意図を“字幕”とはいえ、曖昧にするのは如何なものか

 

 

私はそう考えております