中年の刑事・深間は、いったん激怒すると見境なく暴力を振るってしまうという悪癖があった。

 

かつてはその強引な手法により街から暴力団を一掃した功労者と讃えられた深間だったが、度重なる不祥事に加え、大立ち回りで死者まで出してしまったことの責任を問われ、治療のためNYの医療機関へと送られることになる。

3年後、日本に呼び戻された深間は、見知った街の雰囲気が一変してしまったことに気づく。

 

行きつけだった猥雑な店はなくなり、親しい飲み仲間や、面倒をみていた不良たちの姿もない。

さらに、町内会のメンバーで結成された自警団が高圧的な「パトロール」を繰り返しているのだ。

 

一体、この街に何が起きているのか?

「安全・安心なまち」の裏に隠された真実に気づいたとき、深間の中に久しく忘れていた怒りの炎がゆらめき始める……。

 

 

 

昨年8月に公開された「激怒」

気がついたら終わっていましたが、

レンタル配信が始まったのでやっと鑑賞

 

 

立て篭もりをボコボコにして解決する深間の暴力を見て、

自警団の必要性、正当性に気がついた富士見町会長、桃山

 

自警団の「パトロール」とはサディスティックな暴力

ホームレスの首にタイヤをかけて火をつける「タイヤネックレス」や、

コインパーキングの料金を踏み倒そうとした若者をいたぶる

現場の警察官は自警団の活動を邪魔してはいけない

 

町会長の桃山は若い女を連れ歩き、女は男を立てろ、

と嘯きます

 

相互監視と同調圧力、剥き出しの暴力

それを都合よく利用する(警察)権力

 

 

NYから戻り、

怒りを抑える薬を服用しながら職場復帰した(準刑事)深間は、

後輩から波風をたてるな、と注意されます

しかし、

行き場も無く廃墟に隠れていた、

かつて面倒を見ていた不良たちが殺されてしまいました

深間は、薬を捨て廃墟に罠を張り、自警団の襲撃を待ちます

 

襲いかかる自警団の面々と警察署長を次々と殺しまくり、

勝利したかに見える深間

 

タバコをふかし廃墟の屋上からは眺める町は、

あちらこちらで黒煙が上がっていました

 

 

 

 

監督・脚本の高橋ヨシキの「激怒」したい気持ちは伝わってきましたが、

 

最後の署長の言葉「もう時代が違うんだ、諦めろ」は、

ただの悪役の決め台詞とは言い切れない、

確かに現実の世相はそうなのかもしれない、と思わせます

 

だから、

B級感丸出しの荒唐無稽な展開と無理くりの暴力で対抗するしかないのでしょう

 

虚無的にならざるを得ないのか

 

そんなやり切れない思いで観終わった「激怒」でした

 

 

 

深間が帰国した空港や、富士見町の上を低空で編隊飛行する、

米軍機らしい大型爆撃機

 

これは、何を意味していたのでしょうか