Netflixで配信を知り、

20年ぶりぐらいで観た「サイダーハウス・ルール」(1999年)

 

私の中で勝手に美化していたようです

 

 

トビー・マグワイア演じる主人公ホーマーが、

マイケル・ケイン演じるラーチ医師から、

産院兼孤児院の院長職を引き継ぎ、

院長の1日の最後の仕事、

孤児たちのベッドが並んだ大部屋のお話の読み聞かせ、

続きはまた明日、

と言うと、子供たちが幸せそうにベッドに潜り込む

 

そんなラストに「終わり良ければすべて良し」とばかりに騙されていました

 

ラッセ・ハルストレム監督は、

私の好きな「ギルバート・グレイプ」でもそうですが、

爽やか好青年を使って、重い題材を、

何か希望がありそうなラストでまとめてしまう

 

そんな簡単な話ではない、と思いますが

 

 

 

 

1940年代、中絶が違法な時代

 

貰い手のない孤児だった21歳の青年ホーマーは、

高校にも行っていませんが、

ラーチ院長がきっちりと医術を教え優秀な産婦人科医に

 

ラーチ院長は、望まない妊娠をした女性の意思を尊重し、

違法な中絶手術を施し、これを人助けと言います

 

ホーマーにも人助けの道を選べ、と後継者になるよう説得します

そして理事会に提出するために偽の医師免許状まで作成します

 

 

 

しかし、

ホーマーは中絶を嫌い、孤児院から外の世界へ旅立ちます

 

 

リンゴ農園の季節労働、漁業の手伝い

人々との交流

恋もしました

 

 

リンゴ農園の息子、友人ウォーリーには仕事を世話してもらったのに、彼の恋人キャンディと恋仲に

ウォーリーは後の"アントマン"ポール・ラッド

漁師の娘に見えないキャンディはシャーリーズ・セロン

 

 

トラックに乗って果樹園を転々とする季節労働者の黒人たちのボス、ミスター・ローズ

ホーマーに丁寧に仕事を教えてくれます

 

ミスター・ローズの娘、ローズ

 

黒人たちに呆れられながらも寝食を共にをしてリンゴを摘み、

リンゴを潰してサイダー(リンゴジュース)を作る

 

リンゴの季節が終わり、労働者たちが去った後は、

キャンディの父親のロブスター漁を手伝い、

ウォーリーが出征中にキャンディーと深い仲に

 

 

季節が巡り、またリンゴの季節、労働者たちもやって来る

 

ローズは父親の子供を妊娠していました

ホーマーの手元にはラーチ院長から贈られた医療用の鞄

 

意を決してローズに中絶手術を施すホーマー

 

数日後ローズは父の腹を刺して逃げ出し、

ミスター・ローズは自ら腹を更に刺し、

自殺として警察に報告しろとホーマーに頼んで死んでいきます

 

 

出征していたウォーリーは下半身麻痺になって帰還

キャンディはウォーリーのもとに

 

1年のほどの間に、

多くの体験をし、自分の使命を自覚したホーマーは、

ラーチ院長の死をきっかけに孤児院に帰ります

 

 

 

 

「サイダーハウス・ルール」とは、

 

字の読めない労働者たちの寝泊まりするリンゴ農園の小屋に貼られた「規則」

「寝タバコするな」「屋根で寝るな」「屋根で飯食うな」

 

頼まれてそれを読んで聞かせたホーマーに、

ここのルールはここに住む俺たちが決める

そんなものは燃しちまえ、ホーマー

ミスター・ローズは言い切ります

 

ホーマーは小さな紙切れをストーブに落とします

 

 

誰かのルールではなく、

望まない妊娠をした女性自身がどうしたいか決めるべき

 

ホーマーは、そのような意味に捉えたのでしょうか

 

 

「お前には使命があるんだな」

 

それが、

ホーマーが労働者たちに別れを告げた時、

彼らが掛けてくれた言葉でした