大富豪の老人に本を読み聞かせる少年は、

彼にiPhoneの使い方を教え、

2人は友情で結ばれてゆく。

やがて老人は天寿を全うするが、

少年は死んだはずの彼と奇妙な形でつながり続けていた...。

 

 

スティーヴン・キングの短編小説を原作とする、

Netflixオリジナル映画です

 

 

 

映画は、

キャッスルレイクの崖に佇むクレイグのモノローグで始まります

 

 

メイン州の片田舎、

 

2001年母を亡くし、

父子で休日には教会に通い、慎ましく暮らしてきたクレイグ少年

 

 

2003年から、大きな屋敷に隠遁する老人、ハリガンに雇われ、

時給5ドルで5年間、週3回本の音読のバイトを続けてきました

 

 

ハリガンは州一番の大金持ちですが、

その評判は芳しくなく、身寄りがいる様子もありません

ハリガン、ドナルド・サザーランドが適役です

 

 

それでも、クレイグは、

ハリガンのために音読することが嫌いではありません

 

 

2008年、クレイグは地元の学校に通う高校生になります

高校ではスマホが流行り始めた頃で、

クレイグも"iPhone"を買って貰いました

 

ハリガンに贈られたクジで3千ドルが当たったクレイグは、

彼にiPhoneをプレゼントします

 

テレビもラジオも時間を無駄にするから身の回りに置かない、

そんなハリガンも、

スマホの使い方を覚えるとすっかり夢中になりました

 

リアルタイムのニュースや株式市況を有効活用しながらも、

無料で情報が流れるその先の危うさをハリガンは指摘します

 

 


 

いつものように音読のためにハリガン邸を訪れたクレイグは、

椅子に座りスマホを握ったまま死んだハリガンを見つけます

驚いたクレイグは、

無意識にハリガンのスマホを持ち帰っていました

 

後日の葬儀、

クレイグは棺に眠るハリガンの内ポケットに、

彼のスマホを返します

 

 

 

ハリガンはクレイグに将来の学資資金にと、

80万ドルの信託預金を残してくれていました

 

クレイグは、ハリガンのスマホに電話します

「お金はいらないからもう一度姿を見せて」

すると、謎のアルファベットのメッセージが

 

ハリガンは生きているっ!

訴えるクレイグに、父は、

ハリガンは検死のため解剖されている、もう生きてはいない、

それは何かの悪戯だろう、と慰めます

 

 

 

クレイグに入学の頃から因縁をつけてきた、

ケニーというワルがいました

 

ケニーは学校内でヤクを売り退学となりますが、

クレイグは、彼に密告したと言いがかりをつけられて、

激しい暴力をふるわれます

 

クレイグはその恐怖をハリガンの電話に訴えると、

翌日、ケニーの事故死が伝えられます

ケニーは、かつてクレイグのイジメに使おうとした靴墨を口に塗り込められ、右手に靴墨の缶を握っています

 

 

 

クレイグは、

ケニーのようなワルにも彼の死を悼む親がいることに気が付き、

後悔の念を抱きます

 

 

ハート先生は怪我したクレイグを助けてくれた恩人です

打ちひしがれた様子のクレイグを、ハート先生は慰めますが、

「幽霊なんて信じませんよね」とクレイグに尋ねられると、

祖母の言葉として、

「霊は呼び出さない、聖なるものとは限らないから」

と答えます

 


その晩、

「"死んで欲しい"とまでは思わなかった」

と、またクレイグはハリガンに電話します

 

すると、またしてもアルファベットのメッセージが

 

 

クレイグは、

他人を容赦なく傷つけていたハリガンの生前の様子を知り、

iPhoneを機種変更し、

元の機種は自分の部屋の棚の奥に仕舞い込みました

 

 

高校では、皆がスマホを持ち歩くようになっています

昼休みのホールには、機種ごとにグループになって、

会話もなくスマホに熱中する生徒たちでいっぱいです

 

 

 

クレイグはボストンの大学に合格します

 

自分の車で家を出るクレイグ、寂しそうに見送る父

 

クレイグにも見えていないのでしょうが、

ルームミラーに映る父の隣には、亡き母の姿が

 

 

ジャーナリストを目指し勉学に励むクレイグに悲しい知らせが

 

ハート先生が、

婚約者とドライブ中に無免許の飲酒運転事故に巻き込まれ、

亡くなりました

 

 

しかし、加害者はお金持ちなのでしょう

六箇月のカントリークラブのような優雅な矯正施設入所で、

罪を逃れそうです

 

ほくそ笑む加害者ディーン・ウットモア

 


 

ハート先生の葬儀から自宅に戻ったクレイグは、

隠してあったハリガンのスマホを取り出し充電します

 

そして、ハリガンにハート先生の死を報告し、

「ディーンに死んでもらいたい」と語ります

 

 

電話した直後から後悔するクレイグですが、

程なくして、ディーンの自殺のニュースを目にします

 

ディーンは、クレイグも知っていた、

ハート先生の愛用した銘柄の石けんを喉に詰め込み、

ハリガンのスマホの着メロに使ったカントリー・ミュージックの歌詞の一節を遺書にして死んでいました

 

 

 

ディーンの死に恐怖したクレイグですが、

彼はハリガンの子供時代が孤独であったこと、

だから母を失い寂しかった自分に音読をしないか、

と声を掛けてくれたこと、に気が付きます

そして、あのメッセージは"STOP"という意味だった、

と思いが至ります

クレイグはハリガンの墓を訪れ、謝罪します

 

 

更に、母の死を受け入れられず、

葬儀後は足が向かなかった母の墓に初めて訪れました

 

 

 

そして、冒頭のレイクキャッスルのシーンになります

 

クレイグは、ハリガンのスマホを池に投げ捨てました

 

手元にあるのは、今使っているiPhone

これは捨てられません

 

 

自分が死んだら、ポケットは空にして埋葬して欲しい

 

そう願うクレイグでした

 

 

 

一瞬、ゾッとするようなカットはありますが、

映画は概ね淡々と進んでいきます

 

二つの死は誰がもたらしたものなのでしょうか?

最後にクレイグの思った通りならば、

それでも、ハリガンの霊の仕業なのか

 

クレイグ自身の力?

母の姿もありましたね

 

 

さて、

スマホの危険性・中毒性をハリガンは語りました

無言の高校生たちの集団は、一心不乱にスマホを操作し続けます

クレイグは、一時の憤りでスマホに人の死を願いました

クレイグは、

自分が人を死に追いやった責任を自覚していますが・・・

 

 

「ハリガン氏の電話」は、

スマートフォンの怖さも分かり易く描き、

孤独な老人と子供の交流もあり、

ある種、教育的でもあるような、

ちょっと異質なホラーテイストの映画でした

 

怖くもないし、謎も解けないし、

でも、意外と楽しめた映画ではありました

 

 

 

 

クレイグの顔に見覚えがあると思ったら、

「IT/イット“それ”見えたら、終わり。」の主人公ビルでした