「シン・ゴジラ」が東宝の"単独製作"であることが、

公開当時、話題になりましたね

 

 

何時ごろからでしょうか

邦画は、

実写映画もアニメも、

出資者(社)が集まる制作委員会方式で作られる時代になりました

 

 

この出資者は、

映画(興行)会社、広告代理店、放送局、芸能事務所

など、映画製作に関わる事業者で構成され、

 

出資配当収入のほかに、

興業会社なら、チケット収入の数十%、

放送局ならテレビ放映時のスポンサー収入、など、

安定した手数料収入が予め見込まれる、

出資者は損をしないような、うまい仕組みのようです

 

 

さて、

このブログは、

「シン・ゴジラ」の庵野監督の話ではなく、

 

「すばらしき世界」(2021年公開)の西川美和監督の、悲痛な訴え、からです

 

出資者がお金儲けできるシステムは確立されていますが、

 

 

 

作品の製作現場(スタッフ、キャストなど)は、

その恩恵に与れるわけでなく、

そもそも、

出資者たちは、企画開発や人材育成に投資したがらない

 

成功報酬契約も一般的ではなく、

予め決められた製作費から支払われる報酬のみが取り分で、

大ヒットしても、その利益は出資者たちが持っていってしまう

 

例えば、

日本映画監督協会の設定では、

映画1本の監督の最低報酬額は350万円と言われていますが、

監督が報酬の増額を要求すれば、

スタッフの誰かの報酬が減額される、

または、人件費以外の製作費が削られるかもしれない

そんな思いから報酬のアップが言い出せない

 

また、

上映される映画の著作権は映画会社のもので、

DVDなど二次使用分からの印税が入るが、

DVDの売り上げは低迷し、配信からの印税率は不十分

 

日本監督協会の定める二次使用報酬です

ウソみたいに安いです

 

 

その結果、ごく一部の売れっ子監督以外は、

「監督業は食えない」が当たり前になり、

テレビドラマやCMの脚本、演出、

その他、才能、技量で稼ぐわけですが、

そのために時間を取られ、

本業の映画製作準備に取りかかれない、

まさに本末転倒です

 

 

西川美和監督のような、著名な方で、

数々の賞を受賞するような監督でさえ、

置かれている状況が厳しいことは変わらないようです

 

 
西川監督は、
監督の経済事情は、
映画業界全体が痩せ細っている問題の氷山の一角であり、
痩せ細った環境で作られる映画の観客が、
自国の映画文化に誇りを持てなくなるのも当然、
とします
 
平たく言えば、
邦画に客が来なくなるよ、でしょうか
 
最後に、
より良い映画を作り、作り手の充実には、
映画業界人の"連帯"と"学習"が必要と訴えます
 
 
西川監督の危機感、焦燥感がひしひしと伝わってくる記事でした