映画「騙し絵の牙」公開2021年3月26日公開

10月早くもWOWOWに登場

 

原作は塩田武士

作者が主人公に大泉洋を当て書きしたそうで、単行本表紙はしたたかそうな大泉洋の写真

 

 

 

 

映画と原作は全くの別物です

いい意味で

 

だから、原作に負けず映画も面白い

 

 

以下小説のネタバレあります

 

 

原作の速水は、高校生の時に、義父と一編の小説を書き上げた経験から編集の面白さを知り、その能力と人柄で後に生ける伝説となるが如き優秀な編集者になります

 

「作家の発表の場を守る」ために、薫風社のカルチャー雑誌「トリニティ」の編集長として雑誌の黒字化を目指すも、社内政治に翻弄され、家庭は壊れ、最後には新人作家に自死されて、40代半ばで速水は辞表を出します

 

それから3ヶ月、速水はその人脈と能力を発揮して、株式会社「トリニティ」を立ち上げます

「トリニティ」は、作家のサポート・編集、電子出版・メールマガジンでの連載、メディアミックス、を一つにまとめコストダウンを図る、「ハブ」のような会社を目指します

 

「トリニティ」の設立記念パーティーでは、かつて速水に煮湯を飲ませてきた面々が、媚びへつらい、また無念の表情を見せています

 

 

塩田武士は「騙し絵の牙」で、文学、出版社の危機的な状況を分かり易く丁寧に伝えています

それは、同時に、塩田武士の焦燥感そのものを感じさせます

 

 

映画「騙し絵の牙」は監督曰く「沈み行くタイタニックの中でくりひろげられる仁義なき戦い」

斜陽産業の文芸出版社の社内政治が主題、経営第一の社長派と文芸重視の常務派、そして最後に思いがけない人物が登場し、速水の真の役割が分かってくるが、速水も足元をすくわれます

 

原作では、速水の部下であり不倫相手であり、最後に速水を裏切ってパーティーでホゾを噛む、高野恵ですが、

そんなに出番はありません

映画では、松岡茉優が演じる高野恵は主役級になります

真面目で酒が弱い優秀な新人編集者であり、ラストで素晴らしい、多分原作者塩田武士も喜んだであろう、思いもよらない方法で速水に地団駄を踏ませます

 

 

最後の最後、速水はまだ諦めません

次の一手は・・・