何しに日本へ?か
   面白いな。出会いにはいろんな方法がある。

   ヒッチハイクで日本を旅するドイツ人。出会う日本人と、その日本人が出会う、日本語の出来ないドイツ人。どこにトラブルが潜むか分からない中、疑うことを知らずに、奇跡のような出会いと経験をする。

    彼が言った「出会った人が私の財産」

  よく分かるな。中国で過ごした十年以上の歳月や、若かりし日の冒険を思い出し、テレビに映る彼が羨ましくなってチャンネルを変えてしまった。

   今すぐにでも日本を飛び出し、未知なる出会いに感動したいが、そんなことは出来ない。歳も状況もすべてが許してくれない。結局、テレビの彼の目的が達成できるか見届けることができなかった。

   ある国で、ヒッチハイクではないが、乗り合いバスを乗り継ぎ旅行したことがある。あの時のことを思い出したが、もし、今、同じことができる環境でも、あんなことはできないな。もう勇気がない。

   
   去年の卒業生から連絡が入るようになった。彼らの人生が成功するまで見届けたいと思って、フェイスブックに私の名のクラスグループを作っておいた。

   特別な時に連絡してください。私はここで待ってますと見送ったのだが、もう特別な時が来た学生が、帰りたいと言う。

   東京や大阪の大都市に憧れて、希望に燃えて笑顔で去った彼らが、「日本語が上手じゃないと何も出来ない。アルバイトがない。こっちの人はみんな冷たい。」と、同じようなことを言ってくる。

   先生がいった通りだ。もっと勉強すれば良かった。もっと考えれば良かった。そう言ってくる。

   ほら。いった通りだろ。

  と、突き放すことはできないな。奇跡のような出会いをした教え子が、壁にぶつかったなら、一緒に考えよう。

   出会いが増えれば、出来事も増える。面倒も増えるが、それ以上に喜びと感動が待っている。