うちの父の話

うちの父も癌でなくなった。51歳の時。

何の癌かもよく知らない。腺癌って言ってたけど。心臓の回りに血液の混ざった水が貯まっていて、入院と同時に抜いてもらっていた。

よく、そんななるまで、普通に仕事してたなと。


母はまだ44歳。

癌の発見から10日で 旅立ちました。

仕事から帰宅して、いつも通りビールを出して飲み始める。酒飲みだったから、残すなんてことはなかった。それが、飲めんからってヤルワって。

顔色見たら、黄疸が。

とりあえず救急で病院行ったら、明日来てくれと。次の日行ったら即入院。


まだまだ死ぬなんて考えてなくて、仕事する気満々で、入院中もパソコン持ってこいとか、言ってだけど、入院した日にもう、数日と言われた。

すぐにせん妄が始まり、痛みがキツくなり、最後は助けて くれと叫んでました。

あっけなかった。


今考えると、母は相当つらかったと思う。

 よく、喧嘩してたけど、いざ亡くなってしまうと、愛していたらしい。どっちかというと父が。らしい。


私は4人兄妹の長女。当時22歳。

一番下の妹はまだ、小学生。弟は大学生。

自営業で跡継ぎの24歳の兄が父親代わりに一家を養ってた。母は 父が亡くなった時どうだったのだろう。亡くなった事の余韻すらなく、生きてきたんだろう。強い人だ。幸いうちの兄妹は仲が良い。それも、父が早くに逝ったからかもしれない。

歳をとってきてからの方が母は亡くなった父が生きていたらとか、ご夫婦で旅行とか羨ましいとか。


旦那様の父母も癌でなくなった。

父様は食道がんからの大腸がん。

だけど、手術を繰り返し、長く生きられた。

母様も胃がん。

父様がなくなった次の年に母様が亡くなられた。


 翌年、母様は食欲が無くなって、病院を受診。かかりつけ医では判らなかったらしく、市立病院に行ったら、癌と判明。数ヶ月後、最期はあまり痛がらずに亡くなられたらしい。


そんなことを思い出していたら、癌とわかって、お別れする時間があるのが良かったのか、うちの父のように、ぽっくり逝った方が良かったのかと考えさせられる。

こんなこと言ったらなんだけど、私は父が死んでしまったということよりも、旦那様が居なくなると思うと苦しくなる。


今私達夫婦は父が亡くなった歳と同じだ。

母が旦那を亡くした歳を追い越した。