最初はナオキ目線だったが、今はホナミに共感する。
ホナミは、いわゆる団塊の世代の「最後」に産まれた。
学歴や会社でのステータス=社会的地位が一番重要視された世代。
親や親せき、近所や学校の評価=自分の価値とされた。
先輩たちの壮絶な生存競争を見て、その戦いに参戦する以外の選択肢は
無かった。
しかし、振り返ると辺りは焼け野原。
今や自分達の価値観が否定され、
必死に戦い抜いた自分は、時間は、何だったのか、
それを否定する事は自分の人生を否定する事。
家族は離れ、戦いの果に手に入れたのは病気だけ。
ホナミもまた、ナオキと同じ、
「場所」を求めて、トワイライトに、たどり着いた。
何も求めない、期待しない。自分にも、他人にも。
ホナミがようやく辿り着いた場所に、
ずっと前から、一人で佇んでいたナオキ。
その姿は愛らしい少女だが、
彼女から感じる、孤独や哀愁、
そして、凛とした潔さ。
そう、以前の自分の戦場から一番遠い場所に居るナオキに惹かれるホナミ。
ナオキも初めて自分を真っ直ぐに見つめ、
なりふり構わず追ってくるホナミに惹かれていく。
心の奥深くに存在していた、「求める」
という気持ちか芽をだし大きくなっていく二人。
特にホナミは、「最後」だと分かっていた。
ナオキに、「自分」を気づかせてくれる、ホナミ。
「ナオキは素敵な人」
そんな事、思った事もなかった。
確かに、ナオキは抜けているし、社会人として欠落しているところはあるが、
「善い人」である。
ただ、気付いていないだけ。
自分の事も、周囲の人の事も。
関心を持たない様に生きてきたから。
気付く=傷付く事になるから。
二人とも、リアルワールドでは、初老とオッサンだか、
トワイライトでの姿には、彼らの「心根」が現れている。
人は年月を経ても、親になっても、悩むし、寂しいし、怖い。
それを、仕方がない、と諦める事に慣れ、
気が付かないふりをする。
そんな二人が、つかの間の「二人」を楽しんでも良いではないか。
切ない、切ない、恋の物語。