あれはいつ頃だったか。
4月だったかな。
もうすぐゴールデンウィークという時期だったか。
友達が珍しくうちに来て
なおかつ2人来たのだった。
ひとりはK2C(仮名)。
14年くらい前に知り合った友達。ひとつ年上。
出身地が東北(彼は福島、わたしゃ宮城)なのもありつつ好みの音楽で意気投合したのが始まりでしたな。彼は今も絵を書いてて。
わたしも何度もカセットテープやCDRのジャケットを書いてもらってますな。
もひとりの友達は
aYちゃん(仮名)ね。
もともとはK2Cの友達で
さらにもうひとりの友達の彼女だったりしたもろもろで知り合ったのでしたな。
5つか6つ年下で
当時はものすごく年下な気もしたけれど
今はあんまりそう思わないですねぇ、
なんででしょうね。
日も暮れて
居酒屋もしくは小料理屋のカウンターに並んで
話の続きをしていたのだけれど
途中から全然知らない話になっている。
2人がしゃべっている。
『ピナ・バウシュ』の話だ。
(なんだそれは。
なにかの名前か?
グループ?)
aYちゃんは言う
こないださあ
ピナ・バウシュの映画、
2本とも観たんだけどね。どっちも良かったよー
と。
(え、2本やってるって、なんなの?)
K2Cも言っていた。
こないだ事務所で
ピナ・バウシュのチラシがあって、それ見てて職員のひとに「これどっちも観てみたいんですよねー」って話してたら
ちょっと離れた席のあんまりしゃべったことのない女の職員さんがさささっとこっちに来て、「いいですよねピナ・バウシュ。わたし両方観てきたんですよー、おすすめです」
ってちょっと嬉しそうに話しかけてくれたりして、面白かったよー
と。
(なによそれ、いいかんじじゃないかー)
ところで
きみたち、
『ピナ・バウシュ』
って何?
え
ダンサー?
へぇ。
あ
女の人なのね。
ふうむ。
(なんか難しそうだな、全然しらないし)
あ
世界的な舞踏家なのね?
へー。
映画は
どちらもドキュメンタリーだという。
でも別々の映画で
片方は3Dだという。
(まじか3D)
なんだろう
微妙にまだ
わけがわからない。
なになに
素人同然の
10代の子たちに
振り付けを指導しながら
舞台を作り上げていくわけなんだけど
それが
ちっとも独裁的ではないのよそれがすばらしいわけなのよ…
…なのかい?
ほお
なんか良さそうね。
それで
片方はヴェンダースが撮ってて…
え!
なになに?
ヴィム・ヴェンダースかい?
えええ!
それだとだいぶぐーっと観たい。
っていうか俺観る!
ええ。
そんな具合で。
ほぼ
それぐらいしか
情報ないままで、
上映状況を調べてみたら
池袋でしかやってない(3Dのやつ、ヴェンダースが監督)ということで
(封切りからわりと時間が経ってたのね)
たしかゴールデンウィークの真っ最中、
(なんか強い雨が降ってたな)
すごい人だらけの
池袋駅をくぐり抜けて
映画館で静かに
3D(はじめてよ)で観たのでした、
ピナ・バウシュ。
すっごい良かったんだよね。
ああ
これ
すごいいい。
と思って5月。
それで
あれからひたひたと時は経ちましたが
今日はまあまあ早起きして
下高井戸シネマで1週間だけ1日1回ずつやるという
『ピナ・バウシュ 夢の教室』
を観れました。
良かったなあ。
やー。
表情とかすごくいいなあ。
少年少女もさ、素の戸惑いやら解放されてく過程もすごく素敵だけど
少年少女を指導するベネディクトとジョーも教えながら見守りながらとてもいい顔で笑うんだよなあ。
ピナ・バウシュもどこまでもさらりとした佇まいで
なんだかとても素敵な態度を携えていると思うのでした。
なんだろうね
とてもわたしが見たかったものを
見れたと思う。
答えみたいなものを見にきたわけではなかったからねぇ。
細部についても
なにも知らないまま
見てるのだけど
だからこそ
美しさの断片に
ただただ
ビリビリしびれることができる。
こっぱずかしい物言いだけども
世界を好きになっちまうような
そういうきらめきが目に映ってしまうわけでしたよ。
映画館を出たあと
つい
下高井戸の町を
いつになく
シンプルに
そこにある景色見て歩いてみたい気持ちになって
実際いいかんじで
ひとりてくてく歩きまくってしまったのは
空の青さと風の案配のせいだけではあるまい。