イヤフォンから
束の間
甘い愛の歌を
耳に 流しこみながら、
空気は湿気を含んでベタベタとあっつくて
僕は
世田谷の神社の鳥居の外、
入り口の脇に
ぽつり1人で
立って
あんぱんを
はむりはむりと
食べる。
通りの向こうを
通り過ぎる女の子は
随分とガーリーな
佇まいで美人だけれど、
『いくらなんでも
足が細すぎるんではないか?』
とか
思ってみたあとで、
手指についた
あんぱん中央に
まぶされた細かいゴマを
ぱそぱそと払い落としては
夜になれば
すこしはすずしいかしら?
と
そらした目線の先、
空は鮮やかな水色で
愛の歌も
あんぱんも
女の子も
暑い1日も
すべては
通り過ぎていく。
などと言い放つうちに
さみしさをやり過ごせたつもりにも慣れる街の外れなのでした。