試聴機は 壊れていたのだろう。
図らずも
金曜日はいろいろとあった。
渋谷の映画館でもう一度『プレシャス』を見た。
そして
夕方から
渋谷AXという会場で 奥田民生の公開レコーディングを見ることになっていたのだ(実際、席はかなり前のほうで、間近で民生氏が録音していくのを見ることができた!)。
公開レコーディングに行く前に
渋谷のタワーレコードで一緒に行く友達と待ち合わせした。
一枚、買おうと思っていたCDがあった(マット&キム、結局買わなかった!)。
でも
その前に
試聴機に並んだ10枚のディスク。
その5番のCD、
ジャケットの写真と文字の色具合が
とてもバカっぽくて良い。
バンド名、
HARLEM
(ハーレムかあ。映画『プレシャス』の舞台もハーレムの街だったなあ)
アルバム・タイトル、
HIPPIES
(ヒッピーだって?まずいなあ。危険だ。バカすぎる危険があるぞ)
たぶんダメだと思うけど 念のため
5番、HARLEMを
試聴することにする。
『おっ!』
『アレ?』
意外にも冷たい音である。
そしてウィスパーな歌声。ボーカルは女子である。
サウンドは淡々としてて、でも綺麗なかんじ。センスは良さそうだ。聴き込んだらば、めちゃくちゃ良くなる可能性がある。
なんといっても
ジャケットが良い。
あんなバカ(でかわいい)色と
ピンクの文字でHARLEM、そしてHIPPIES
それなのに
サウンドは醒めてて、クール。
これは
かなり幅の広いユーモアだぞ。
という判断が出て。
その
バカなジャケと美しい歌という強烈なギャップを味わうべく、
(予定を変更して)その5番の、
HARLEMのCDを
購入した。
それから
5時間後。
僕は霧雨の渋谷で
奥田民生のレコーディングを堪能したあと、
わりと疲れて部屋に帰ってきた。
お風呂に入り、そろそろ眠ろうというとき
あのCDを取り出す。
HARLEMの
静かなサウンドでも流しながら眠ろうというわけだ。
たしなみであるよ。
(CDラジカセだけどね)
再生のスイッチを押す。
ん?
記憶よりずいぶん
ペニャペニャした
ギターの音。
あれ、変だな?
そして
歌い出したのは
バカっぽい兄さんの声だった。
ええー?!
これじゃあ
ジャケットのそのまんまの
バカっぽいガレージバンドじゃん!
だ、だまされた!
あまりにも
今の気分とかけ離れたサウンドに、
それが良いか悪いかの判断機能は停止したまま、強烈な拒否反応。
こんなHARLEM、
いらねえよ。
と ひどく興醒めして、
口直しに
ボブ・マーリーの『バーニン』をかけて、
むりやりとりあえず寝るのだ。
泣いてはいけない。
俺には明日が必要なんだ。
