御嶽海と歩む出羽海部屋の床山、大銀杏に夢を結う  スポーツ報知 10/26(土) | 感謝(ALOHA)

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御嶽海と歩む出羽海部屋の床山、大銀杏に夢を結う 

スポーツ報知 10/26(土)

 

 

御嶽海の大銀杏を結う床力。少年時代からの夢をかなえて床山になった

 

 

 大相撲力士の象徴「まげ」。艶やかにまとめられた髪は、フワッとびんづけ油の甘い香りがする。関取(十両以上の力士)になれば、大銀杏(おおいちょう)と呼ばれる結い髪に。芸術的ともいえる大銀杏は「床山(とこやま)」と呼ばれる職人によって結い上げられる。出羽海部屋所属の床山・床力(とこりき)は日々、鍛錬を積みながら、ある「夢」を追っている。(大谷 翔太)


 出羽海部屋の床山、床力。本名・梅田力也(りきや)。部屋の関脇・御嶽海(26)の大銀杏を結う、入門9年目の27歳だ。小学5年の時、大相撲に興味を持った。「何でも見たくて、テレビにかぶりついた」。床山という仕事に初めて触れたのもテレビ。「千秋楽の支度部屋で、床山さんが髪を結ってる姿を見て、かっこいい。この仕事がしたいなって」。中学入学の頃、既に角界入りを心に決めていた。


 相撲界とは縁のない家庭に育ったが高校2年の冬、知人の紹介で出羽海部屋を訪れた。当時の部屋の床山で、後の師匠・床安と先代の出羽海親方に「床山になりたいです」と直訴。熱意が伝わり、2011年名古屋場所に入門が許された。


 以降は猛練習の日々。「ほぼ毎日。部屋の力士に頼んで2時間くらいまげを結う練習をしていました」。一から段階を踏んだ師匠の指導。毛の癖をとるために水をつけ、もむ作業。油の付け方からくしの通し方まで一つ一つを吸収していった。1年後には大銀杏を結えるまでになった。


 大銀杏は、限られた時間できれいに仕上げる必要があるという。御嶽海の負担を減らすためだ。師匠からは「関取が早くしてくれと言うのならする。その中でうまくやるのは、俺らの技術次第」と教えられた。例えば急いで「もみ」の工程をおろそかにすると、癖が残り毛が真っすぐにまとまらない。だから急ぎながらも丁寧さは欠かせない。


 昨年の名古屋場所、御嶽海が幕内初優勝を飾った。支度部屋で優勝力士の大銀杏を整える自身の姿は、幼い頃に見たテレビと重なった。「鳥肌というか、これをやりたかったんだと」。優勝力士と、横綱・大関の大銀杏を結うことが夢。一つの夢がかなったが、実は「緊張して、失敗したんですよ」と明かした。仕上がりの形に納得がいかなかったという。


 今年の8月。「御嶽関には最低でも、あと1回は優勝してもらわないと」とリベンジを誓っていた。すると秋場所。御嶽海が2度目の賜杯を抱いた。


 「実は優勝決定戦の時、関取の髪が切れていて。なかなか100点の大銀杏って結えないものですね」。だが、表情は充実感に満ちていた。


 次なる目標は「大関の髪を結うこと」。九州場所の成績次第では、御嶽海の大関昇進の可能性が出てくる。現在9年目で、階級は四等。「まだ四等床山。年数が上がっていくごとに、その年数以上の仕事ができるようになりたい」と床力。御嶽海という関取とともに夢を追う。感謝の気持ちを胸に、今日もまげに魂を込める。


 ◆51人が所属し6階級ある床山


 力士のまげ、関取以上に許される大銀杏を結う床山は現在、日本相撲協会に51人が所属。五等から特等まで番付がある。最高位の特等床山は勤続45年以上、または60歳以上のキャリアが目安。床蜂(宮城野)、床松(春日野)が今年の名古屋場所限りで定年退職し、特等は床淀(伊勢ケ浜)ただ一人。他の床山の内訳は一等(18人)、二等(10人)、三等(10人)、四等(7人)、五等(5人)。