- 縄文時代中期中葉の勝坂式・阿玉台式と後葉の加曽利E式の要素をあわせ持つ、極めて短い間に存在した土器。
中峠0地点型(市原市草刈遺跡B区538号住居)口縁に透かしの入った3単位の把手がつく。口縁部文様帯には、三角の交互刺突文が、そして、その下に縦の集合沈線が施される。口縁部文様帯の下限は刻目がつけられた隆帯で画され、そこから頸部の平行隆帯に連結するクランク文が施される。胴部に地文縄文を施す。
中峠6次1住型(市原市草刈遺跡H区H0629) 口縁文様帯上半が無文、下半に三角交互刺突文と隆線による渦巻文が施される。渦巻文は爪形文によって縁取られている。頸部に隆帯は平行に施されている。胴部は地文に斜縄文が施される。
中峠6次1住型(市原市草刈遺跡B区538号住居) 口縁文様帯に三角連続刺突文、刻目がつけられた隆線、斜めの集合沈線。頸部に隆帯によるクランク文。
- 加曽利貝塚博物館は、中峠類系を『加曽利EI初』としている。
- 縄文中期の中葉、北関東に大木 8a式土器が伝播した時、既存型式の阿玉台式から新型式の加曽利EI式へ土器づくりの交替劇が急速に進展した。大木の伝播当初にあっては、中味は異なっていても新来の大木 8a式、既存の阿玉台式や勝坂式が併存し、それらの“合の子土器"の姿をした地域的な顔つきの土器がセットをなした。
- 群馬の山間域に出現した「三原田式」とともに、千葉北部を中心に盛行する「中峠式」はそうした地域個性が強く表出された土器群。
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中峠類型(加曽利EI古段階)飛ノ台史跡公園博物館@船橋市 2024/01/03追加
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2022年11月22日、阿玉台式土器が観察できるだろうと鹿嶋市どきどきセンターを訪問。
しかし、期待していたエラ張り口縁と富士山突起の器形は拝めず。 代わりに、見たようで見ていない、少し「??」な縄文中期の土器に出会った。阿玉台? 加曽利?・・・なにこれ?!と悶々としていた。
※ いつも残念に思うのだが土器型式名の表示なし(早前中後期のみ)。
その4日後の11/26(土)、加曽利貝塚(南貝塚)発掘調査説明会のついでに再訪した加曽利貝塚博物館。そこで開催中の『令和4年度企画展示 あれもEこれもE (内房総地域編)』でその正体が中峠類型と判明。ドンピシャのタイミング、悶々の日々は僅か4日で終了。なんて幸運な偶然♪ やはり出向いて調べ歩くといいことあるな(^-^)